――本当に素晴らしいイカレっぷりでした（笑）。本作のタイトル『初恋』の“初”にかけて、染谷さんの長いキャリアの中でも、本作で初めて体験したことは？ 染谷「ヤクザ役は初めてです。しかも三池監督の映画でのヤクザですからね。自分には絶対にないと思っていました。しかも面白い役ですし」 ――確かに初ヤクザですね。染谷さんのキャリアは約20年です。その間、モチベーションがぐらついた時期はなかったのでしょうか？ 染谷「小学校の高学年のときに1回休みたいと思ったことがあります。そんなに忙しかったわけじゃないんですけど、たまたま連続して学校の行事に行けなかったんです。それで、『友達と遊びたいのに……』となって。でも、そう思いながら受けた連続ドラマのオーディションに受かりまして。そのまま続けて、そこからは休みたいと思ったことはないです」 ――今回のヤクザや、大河ドラマでの織田信長など、役回りも広がっていて、現在はより楽しまれているのでしょうか。 染谷「そうですね。今までなかったような役割をやらせてもらうことも多くなっています。今まで感じたことのない責任も感じますし、自分は楽しんでやらないといいパフォーマンスができないタイプだと思っているので、有難く、素直に楽しませてもらっています」 ――ヤクザも新鮮でしたし、期待以上でした。信長も本当に楽しみです。 染谷「すごい賛否が出ると思います。これまでの信長のイメージとは全く違います」 ――役者さんなら一度は演じたい憧れの役ですよね。 染谷「たとえば空海（『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』）もそうですけど、もともと好きな人物でも、演じたいと想像したことがありませんでした。それが信長も、今回の三池作品でのヤクザも、『まさか自分が』というキャラクターをやらせていただいている。不思議です」 ――最後に読者にひと言お願いします。 染谷「男臭い映画だと思われがちですが、もちろん男臭いものが好きな人が観ても楽しめますけど、そういうのが苦手な人でも乗れる映画だと思います。根底にはラブストーリーがありますし。それに女性の方は、ベッキーさんの演じているキャラクターがすごく爽快だと思います。ぜひ日ごろのストレスを、この映画を通して解消してもらえたらと思います」 (C) 2020「初恋」製作委員会 ＜文・写真／望月ふみ＞