EXILE&三代目は過去ライブを配信、aikoの無観客ライブはトレンド1位の底力
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くのコンサートが開催自粛に追い込まれています。そんな中、一部のアーティストが無観客ライブや過去の映像作品を無料で動画配信する動きも出てきています。
たとえばロックバンド「打首獄門同好会」。2月29日のツアー最終公演を無観客のまま行い、その様子を配信したのです。
また、スキマスイッチも、2月28日の熊本公演が延期になったのを受け、同日に無観客ライブを配信しました。
この流れを受け、EXILEや三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEなどが所属するLDHも、期間限定でライブ映像40本を無料配信することを決めました(3/31まで)。EXILEのメンバー・AKIRA(38)は、「不安を感じている皆さまの気持ちを少しでも明るくすることができたらうれしいです」と、動画解禁の理由を語っていました。
https://youtu.be/LVdiUwYsVX4
確かに、毎日朝から晩まで感染者が出たとか、死亡者が出たとか聞かされては気も滅入ってしまいますよね。おいそれと出かけられない状況で、束の間でも気晴らしのできる時間は貴重です。コストの問題等あるかもしれませんが、後に続くアーティストがたくさん出てくるといいですね。
さて、こうした非常時だからこそ、アーティストの底力が見えてくるもの。筆者が改めて感服したのが、aiko(44)でした。3月7日と8日に予定されていた公演を延期し、かわりに無観客ライブ『Love Like Rock vol.9~別枠ちゃん~』を1週間の期間限定で配信したところ、ツイッターのトレンドでは「aiko」が1位になるほどの話題を呼びました(公開は3月15日・日曜23時59分まで)。
https://youtu.be/JvXywFwL_y0
人のいない客席に向かって、どうやってテンションを保つのだろうなどと心配した筆者が浅はかでした。どのような状況であろうと、質を追求する姿勢にはいささかのブレもない。稀代の名曲「カブトムシ」は、深みを増していることを再確認しました。
緊急時だからといって、余計な気合が入っているわけでもなければ、特別なメッセージを発しているわけでもない。粛々と普段通りのエンターテイメントを披露してくれたおかげで、得難い経験ができたように思います。
彼女の声の強さは、そのまま豊かな弁舌へとつながり、節回しに説得力を与えている。今回、歓声がないことで分かった新たな発見でした。コロナウイルスのおかげと言ったら叱られるでしょうか。
この数週間、自粛をめぐり様々な議論を呼んだエンタメですが、こういうときだからこそ、この役に立たない慰み物に救われるのかもしれません。
<文/音楽批評・石黒隆之>
無観客ライブ配信や、EXILE・三代目の過去ライブ公開も
aikoの無観客ライブが素晴らしかった
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4



