Entertainment
Love

山田裕貴&松本まりかが語る“幸せ”とは「何が幸せなのか分からなくなった」

 山田裕貴さんが売れない小説家・慎一を、松本まりかさんが離婚して行き場を失い、元夫の友人だった慎一のもとに幼い息子とともに越してきたシングルマザー・裕子を演じた人間ドラマ『夜、鳥たちが啼く』が全国公開中です。
山田裕貴さん、松本まりかさん

山田裕貴さん、松本まりかさん

 いびつな半同居生活を続けながら、お互いの傷をなめ合うように徐々に近づいていく大人の関係を紡いで見せた山田さんと松本さん。人生に迷う主人公たちを演じたふたりも、実は撮影中、自分にとって「何が幸せなのか」と迷っていた時期だったとか。ふたりだから撮影できたという山田さんと松本さんが、「もうひとりの自分がいた」と再会の時を振り返り、今思う「自分にとっての幸せ」について赤裸々に語りました。

その時間を生きることを純粋にやっていた(山田)

――これまでにもドラマで共演されてきましたが、本作ではかつてない密な時間を過ごしたと思います。改めてお互いに感じたことはありましたか?
その時間を生きることを純粋にやっていた(山田)

『夜、鳥たちが啼く』より

山田裕貴さん(以下、山田)「まりかさんは、圧倒的に僕への理解度が高いんです。僕の思考の感覚といったものへの理解度が。だから本当に安心感があります。『この人、たぶん僕と一緒だ』と思えるというか。最後のほうに撮影したラブシーンでも、あのような撮影では周りも気を使ったりして、カットがかかるとすぐにひとりになったりしますが、実際作品の中ではワンカットで終わらず、紡いでいくから、引き離されるような気持ちになることもあるんです。まりかさんは、ずっと近くにいてくれました。本当に助かったし、作品を通じて、その時間を生きることを純粋にやっていたらいつの間にか映画が出来ていました」 松本まりかさん(以下、松本)「山田くんも私への理解度がすごく高いんです。何度か共演してきて、とても面白い人だというのは分かっていましたが、この現場で会った時、私、実はあまりにも忙殺されていていろんなことが行き詰って、『何が幸せなのか』『なんのために仕事をしているのか』といったことが分からない状態に入っていたんです。そんなときに山田くんと再会して、『自分と同じだ』と思ったんです。仲間とか同志とかのレベルじゃない、もうひとりの自分がいた、みたいな感覚」 山田「わかります」 松本「だから、ラブシーンでも環境そのままにそこに身を委ねることが、この映画においても自分の人生においても重要なんだと感じていました」

最初は私たちも傷のなめ合いだった(松本)

最初は私たちも傷のなめ合いだった(松本)

『夜、鳥たちが啼く』より

――役を超えて、おふたり個人が放つ空気も影響し合ったんですね。 山田「たぶんまりかさんも、いっとき燃え尽きたような状態になっていて、僕も同じでした。そんななかでこの物語と出会いました。慎一というキャラクターは、考えて作っていくのではなく、感情を自分の奥から掘り起こして、僕の中にある慎一が出てくればいいと思ってやっていました。それを実際にできたのは相手役がまりかさんだったからだと思います」 ――慎一と裕子は“傷のなめ合い”から距離を縮めていきます。もちろんおふたりは傷のなめ合いとは違いますけど、リンクした部分があったんですね。 松本最初は私たちも傷のなめ合いだったような気がします。お互いの状況を理解できるという点で。でも傷のなめ合いって、意外と大事だと思うんです。それが共有できる相手ってなかなかいないのだから」
次のページ 
自分のことを“知らない人”が増えている気がする
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ