「曲は最高なのに…」スパイダーマン主題歌でMrs. GREEN APPLEに賛否が出る理由。“個性が強すぎる”がゆえの違和感
洋画に日本独自の主題歌は必要なのでしょうか。『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(7月31日公開)の日本版主題歌として起用されたMrs. GREEN APPLE(以下、ミセス)の新曲「Brand New」をめぐり、いまネット上で賛否が大きく分かれています。
ミセスのファンからは好意的な声が目立ちます。「これまでスパイダーマンに興味がなかったミセスファンが映画を知るきっかけになった」「歌詞を読むと、作品の世界観をしっかり研究して作られていることが伝わってくる」といった評価です。
一方で、否定的な意見も少なくありません。「申し訳ないけれど、日本の青春映画のような雰囲気になってしまった」「映画のトーンに対して音楽が明るく軽すぎる」といった声に加え、「そもそも日本版主題歌という文化そのものが不要ではないか」という厳しい指摘も見られます。
もっとも、このようなプロモーション手法は今回始まったことではありません。映画の認知度を高めるため、人気アーティストの発信力やファン層への訴求力に期待して日本版主題歌を制作することは、長年続いてきた慣習でもあります。
けれども、それは主に90年代から2000年代前半にかけての話です。配信やサブスクリプションが主流の現代においても、この「日本版主題歌」というカルチャーの必要性は薄れてきたとも言えます。今回ミセスの起用に関して疑問を感じている人の中には、こうした構造的な変化を見ている向きもあるでしょう。
そう考えれば、肯定派にも否定派にも、それぞれ納得できる理由があります。ミセスのファンもスパイダーマンのファンも、音楽や映画を愛していることに変わりはありません。では、なぜここまで評価が食い違ってしまうのでしょうか。
まず、「Brand New」という楽曲そのものは、J-POPとして非常に完成度が高い作品です。
軽やかなストリングスとヘヴィーなギターサウンドを共存させ、複雑なメロディーや短い転調を織り交ぜながら、誰もが口ずさめる「ドレミファソラシド」のようなシンプルなコーラスへ着地させる。そのすべてを約3分半に凝縮する構成力は、まさに職人芸と言えるでしょう。
「ミセスの新曲」として聴けば「Brand New」は期待に違わぬ出来栄え。まさに、現代のJ-POPの頂点というべき音作りです。
しかし、『スパイダーマン』の映像と組み合わさった瞬間、印象は大きく変わります。トム・ホランドの表情や所作、ニューヨークの街並みに「Brand New」が重なると、音楽が作品世界に溶け込むというより、切り離された存在として前面に現れてしまうからです。
映像の文法はあくまでも欧米映画である一方、ミセスの音楽は日本のJ-POPならではの語法で作られています。そのため、映画全体の中では音楽だけが「お客さま」のように映り、チームとして同じ目標を目ざして作られた創作という色合いを感じさせないのです。
ミセスファンは好意的、映画ファンからは違和感の声
「Brand New」は現代J-POPの頂点とも言える完成度
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