令和の「学級崩壊」は昔と違う。元教員が明かす、“不良の反抗”ではなく「子どもの心が離れていく」教室の実態
神奈川県で16年間、小学校の教員を続けてきたささTさん。
2026年3月に退職し、現在は小学生の二人のお子さんの子育てに奮闘しながら、YouTubeチャンネル「ささT 学級経営と教師の本音」で、学級経営や教師の本音を発信しています。登録者数は19万人、投稿本数は1300本を超え、教育に悩む先生や保護者から支持を集めています。
前編では、1290万回再生(2026年9月現在)を記録した人気ショート動画「先生の1日」から見えてきた、教師という仕事のリアルな大変さや、小学校を退職し、YouTubeや全国の教師、保護者向けの活動に専念することになったきっかけについて聞きました。
今回は、令和の小学生の変化や学級崩壊のリアル、そして保護者にできることについて聞きました。
【前編を読む】⇒「叱ると学校に来なくなる子も…」元小学校教員が明かす、令和の教室で“きびしい指導”が難しい現実

――子どもが荒れ始めるサインというのは、どんなふうに出るのでしょうか。
ささT:教室では、注目行動が多くなると思います。たとえば、机の上に足を乗せてみたり、先生をちょっとバカにしてみたり。
きっかけとして多いのは、たとえば家庭で離婚になりそうなどの問題があったり、虐待がある場合もあります。保護者の方がすごく怖くて厳しすぎたり、成績のいいときだけ褒めるなど条件付きの愛情表現をしていると、テストの点数を誤魔化そうとしたり、嘘をつくようになることが多いと感じます。
また、クラスのみんなから嫌われて、敬遠されていることがきっかけになることもあります。
――子どもが問題を抱えているとき、保護者の対応としては、何が大事だと思いますか?
ささT:保護者の方に大切にしていただきたいのは、子どもの話に共感してあげること。そして、子どもに先生の悪口を言わないスタンスをとっていただくことです。保護者が先生の悪口を言うと、先生と子どもは信頼関係を築くことができません。もちろんケースにもよるのですが、大切なのは子どもに共感はしても、すぐさま同感はしないことです。
子どもが先生の悪口を言ったとき「つらかったね」と共感してあげることは大切です。しかし、そこで反射的に「先生に文句を言ってあげる」というのは、子どもに同感してしまっています。線引きが非常に難しいのですが、先生に連絡をするときは、事実と感情を分けることが重要だと思います。
――学校に連絡する際に、気をつけたほうがいいことはありますか?
ささT:事務的なことなら連絡帳でいいと思いますが、人間関係のことは電話や、どうしても会って伝えたいことは面談がいいと思います。
保護者側にモヤモヤした気持ちが溜まってしまうことは避けたほうがいいので、ぜひ先生に連絡をして事実確認をしたり相談したりしてください。ただ、中には子どもはもう納得しているのに、保護者の方が自身の気持ちを解決したくなってしまっていることがあり、学校側が対応に困ることがあります。
忘れないでいただきたいのは、保護者と同じように、先生も子どもたちのために頑張っているということです。先生も失敗はします。「子どものために協力しよう」とお互いに思うことができれば、対立することはないんじゃないでしょうか。私としては、その間を橋渡しするような活動をしていきたいと思っています。
令和の小学生像、学級崩壊の原因は?
――令和の小学校は、どんなところが昔と比べて大きく変わっているのでしょうか。 ささTさん(以下、ささT):「クラス一丸となって頑張る」ことは、昔と違って薄れてきていると感じます。たとえば、運動会も午前中だけ、得点をつけることもなくなっているので、どうしても熱量が下がります。 ただ、先生の負担はものすごく減りました。私は体育主任として運動会を仕切る立場にいたのですが、16年前は練習時間がすごく長かった。組体操も、4段タワーなど、危険だけどやり遂げると達成感があり、子どもたちや先生のまとまりが強かったと思います。 しかし、先生が考えたことを子どもがやっていただけなのではないかと考えると、果たして正しかったのか。今の運動会では、子どもがやりたいことや、どうやってやるかと自分たちで決めていくことが重視されているので、それも大切だと思います。 ――「学級崩壊」のように子どもたちが荒れる理由は、昔と今では変化しているのでしょうか。 ささT:昔は、不良っぽい子たちが荒れているイメージがありましたよね。最近は、先生が子どもとの信頼関係をうまく作れず、子どもが反発するというよりは心が離れてしまっているという学級崩壊の仕方が、高学年では多いと思います。 低学年の場合は、授業中に立ち歩いたり、指示の通らない子がいて、それに流されてしまう子が増えると先生が統率を取れなくなり、学級崩壊のような状態になることがある印象です。 ただ、学級崩壊というのは定義が難しく、常にそういう状態ではなくても、1日の中で子どもたちの統率が取れないことが何度か起きることもあります。 また、現場の先生達が学級崩壊という言葉を使うことはほとんどないんです。「あのクラスは学級崩壊している」と言われると、担任の先生はすごくつらいですから。「あのクラスはなんとかしてあげないといけない」と、連携して対処しようとする先生たちが多いと思います。 ――学級崩壊のような状態を引き起こさないためには、何が大切なのでしょうか。 ささT:クラスという集団があると、必ず1〜2割ほどやんちゃな子がいます。だからといって、先生がその子たちのことを無視したり放置したりすると、クラスから排除するような状態に陥ってしまいます。すると、今度はその他の子どもたちの中から、また1〜2割、問題を起こす子が出てくるんです。それをまた無視して排除する、この繰り返しで学級崩壊に至ってしまうことが多いです。 そのため、「どんな子でも絶対に置いていかないし、見捨てない」という気持ちが一番大事だと思います。
子どもが荒れ始めるサイン

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