渡辺直美、紅白でもピカイチ!口パク芸じゃもったいない
歴代ワースト3位の視聴率39.4%と低調だった昨年の紅白歌合戦。確かにこれといって印象に残る歌手もいなかったし、アムロちゃんも遠目のアングルからばかりで、テレビなのによく見えなかったような気も……。
そんな中、ひときわ会場を盛り上げたのが渡辺直美(30)でした。歌合戦なのに、歌手じゃない彼女が一番拍手をもらっていたんですよね。
昨年のクリスマス、イギリスのBBCで放送された『Even Better Than the Real Thing』というモノマネ番組では、ジョン・レノン、マライア・キャリー、ホイットニー・ヒューストン、ブリトニー・スピアーズ、エルトン・ジョン、ジョージ・マイケルなどのそっくりさんが圧巻のパフォーマンスを披露していました。
この動画を観ていて、ここに渡辺直美が入ったらさぞかしハマるだろうなぁと想像してしまったのですね。
芸風とボディのサイズ感はもちろんなのですが、それ以上に内輪ウケだけでは終わらない潔い態度が日本のバラエティよりこちら寄りなのではないかと感じました。ファンではなく、客を相手にしている感じと言えばよいでしょうか。
あとは、せっかくレディー・ガガをやり切っても、それを受けて発展させられる同業者がいないのが残念です。せいぜい近藤春菜(34)がエルトン・ジョンの格好で出てきて、直美ガガをねぎらうシーンぐらいしか浮かびません。
こんなとき、ジミー・ファロン(アメリカのコメディアン。自身の冠番組での歌マネ・音楽ネタが人気)だったらどんな広げ方をするでしょうか。
彼の番組でハウスバンドを務めるザ・ルーツなら、即座に色々な曲を演奏してネタを引き出すことでしょう。
もっとも、渡辺直美のネタは洋楽だけでなく、吉田美和(52)や倖田來未(35)、さらに渡辺真知子(61)まであるので、やれないこともないと思うんですけどねぇ。『バナナ♪ゼロミュージック』(バナナマンが出演するNHKの音楽バラエティ)あたりでどうでしょう?
というわけで、歌合戦なのに歌手じゃない渡辺直美に音楽の可能性を感じてしまう、昨年の紅白なのでした。
<TEXT/音楽批評・石黒隆之>
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歌もいい渡辺直美、ライブでは歌マネ芸も
レディー・ガガのモノマネであのお腹を豪快に揺らすとみんな大ウケ。たしかに肉のかたまりが高速で波打つ絵には、有無を言わせぬ説得力がありました。 それに、紅白でも前日のレコード大賞と同様AI(36)との曲を披露していたのですが、渡辺直美は歌もいいんですよね。目一杯力を振り絞るんじゃなくて、余力を残した状態でも心地よく聞かせてくれる。 今回の曲だけじゃなく、自身のライブでは歌を織り交ぜた音楽ネタを披露しているそうで、紅白のステージでも観たかったなぁ。 ただ渡辺直美の芸は実に王道を行っていて、ゆえに日本ではニッチになってしまっている気がしないでもありません。つまり、彼女にふさわしい舞台は日本よりも海外にあるのではないか、ということです。
渡辺直美にはNHKよりBBCが似合う?
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4



