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嵐の作品がセールス急上昇。今聴きたい名曲5選

 2020年いっぱいで活動を休止することを発表した嵐。各方面に衝撃が走りましたが、音楽シーンへの影響も計り知れません。歴代シングル通算1位獲得数が52作という偉大な記録もさることながら、記憶に残るバラエティに富んだ楽曲で楽しませてくれました。
君のうた

活動休止発表後、過去作品も売上アップ。最新シングル『君のうた』もランキングを急上昇した

 そこで、いくつか振り返ってみたいと思います。

①「a Day in Our Life」

(2002年2月6日リリース、作詞・作曲・編曲:SHUN、SHUYA)
木更津キャッツアイ

脚本・宮藤官九郎、主演・岡田准一で櫻井翔も出演

 筆者が一番好きなのが、これ。ドラマ『木更津キャッツアイ』の主題歌でもおなじみですよね。さらっと耳あたりのよいポップスなのですが、よく聞くとラップとボーカルが立体的に絡み合って、グルーヴ感を形作るコラージュになっているのが斬新でした。“うた”や“詞”よりも、サウンドと構成の妙が主役なのですね。いま聞いても古く感じない理由かもしれません。  しかし、実験的でありながら、頭でっかちにならず、あくまでもさわやかな質感でまとめたところに、品の良さがあるように思います。

②「Monster」

(2010年5月19日リリース、作詞:UNITe、Sean-D 作曲:CHI-MEY 編曲:Taku Yoshioka、Hirofumi Sasaki) 怪物くん 大野智(38)が主演したドラマ『怪物くん』の主題歌でした。同じ音域の中で短調と長調を行き交うメロディがスリリング。ほの暗い歌い出しから、明るいサビになると一転。視界が開けたような効果が生まれるのですね。  古くはデル・シャノンの「Runaway」やビートルズの「Things We Said Today」、エルトン・ジョンの「Harmony」など、ポップスの王道パターンを取り入れた、心憎い一曲です。

③「感謝カンゲキ雨嵐」

(2000年11月8日リリース、作詞:戸沢暢美 作曲:馬飼野康二 編曲:CHOKKAKU)  太陽の下に新しきものなし。旧約聖書の一節だそうですが、Jポップを聞く楽しみの一つが、元ネタ探し。しかも自分の好きな曲へのオマージュだと分かったら、嬉しいもの。  当時「感謝カンゲキ雨嵐」を聞いて、真っ先に浮かんだのがシェールの「Believe」(1998年リリース 全米1位)でした。肝となる涼しげなアレンジを拝借しつつ、全く別の日本語ポップスに落とし込んだ制作陣の手腕にも、感謝カンゲキ雨嵐なのでした。

④「復活LOVE」

(2016年2月24日リリース、作詞:竹内まりや 作曲:山下達郎)  熱心な音楽ファンなら当たり前のことでも、世間一般ではあまり知られていないもの。この曲で、初めて山下達郎が素晴らしいギタリストだと知った人も多いのではないでしょうか? 嵐が歌わなければ、“ギターのカッティング”なんていう言葉があることを知らずに一生を終えた人だっているかもしれません。  国民的アイドルグループだからこそ、幅広い層に大切な情報を伝えることができる。嵐の力を再認識できた一曲です。

⑤「A・RA・SHI」

(1999年11月3日リリース、作詞:J&T、大塚雄三 作曲:馬飼野康二)  最後は、デビュー曲に触れないわけにはいきませんね。グループ名と曲名が同じなんて、ふつう思いつきません。でも、その衝撃があったから曲も覚えていると考えると、ネーミングもまた立派な芸術なのだと思うのです。  というわけで、活動休止まで2年弱。ドラマにバラエティに大忙しでしょうが、音楽でもまだまだ楽しませてほしいものですね。 <文/音楽批評・石黒隆之> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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