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海と高原、どちらが紫外線が多い?UV対策をめぐる勘違い

 太陽の季節にボンジュール! 官能美容のスペシャリストで、パリ在住の皮膚科専門医、Dr.マナティこと岩本麻奈です。今回は、夏と縁の深い日光、特に紫外線とその対策についてお話しします。 UV対策

陽に当たるのは悪いことじゃない

 肌老化の原因には、光老化、酸化、乾燥、糖化などがありまして、光老化はそのなかでも大きな比重を占めるもの。世の中(建前)的には“徹底した紫外線対策”を声高に主張する立場にあるのですが、実際、わたし自身はかなりゆるいです。  太陽の下、肌を露出し人生を謳歌するフレンチマダムやムッシュー達の刷り込みも大きいかもしれません。彼らほどは無防備にならずとも、手足は小麦色の方が細く見えることもあり、基本、夏は焼きます。適度に日光に当たることで自律神経が活発化するし、また朝の光を目にいれることで睡眠のリズムが整うことから、やみくもに避けるものではないと考えています。
岩本麻奈さん

岩本麻奈さん。紫外線カット策は、バカンス地でこの程度です

三種の神器は帽子(日傘)・メガネ・UVクリーム

 時おり街で見かける日傘、帽子、顔マスク、長手袋、長袖のフル装備、しかも黒。これではまるで”死害線対策”ですね。  光線過敏症ならわかりますが、美的観点からはちょっといきすぎかな~と思います。とはいえUVカットクリーム、帽子(日傘)、サングラス、の3つは夏のお出かけのマストアイテムですね。  つば広帽子や日傘は色で選ぶ以上に、素材も含めたUVカット機能表示を参考に選んでくださいね。 ●勘違い:サングラスは色が濃いほどUVカットできる  紫外線は白内障や翼状片など目の病気の原因になるともいわれます。まぶしいと眉間にシワがよるので、サングラスはそのシワの刻印も防ぎます。  色は黒ければ(濃ければ)よいのではなく、必ずUVカット加工(紫外線透過率が表示)されてるものを。暗い視界で瞳孔が開いてしまったところに紫外線が飛び込んでくるのではたまったものではありません。おしゃれ的には小顔にみせる大きめサングラスを推奨します。大きい分肌も隠れますしね。  なお、いっとき“目からはいる紫外線で肌も黒くなる”という説が広がりました。夜行性のマウスでの実験結果ですが、そのまま人間に当てはまるかどうかは疑問です。“服で遮光されていた部分までも日焼けしたかのように黒くなった人”というのを見たことも聞いたこともありません。ただ、目を守る意味からサングラスをオススメする次第です。 ●勘違い:部屋の中ではUVクリームはいらない  たとえ屋内で一日過ごすとしても、雲やガラスを通過し年中降り注ぐ紫外線A波を防ぐため、PA値のそこそこ高いUVカットクリームだけはつけるようにしましょう。  なおSPF値の測定では、1センチ四方の皮膚に2mg塗った時の効果で測定されております。普通、手にとって塗る平均量が0.75~1.2mgといわれるので、薄づけ一度塗りだと、表示のSPF値の効果が十分に発揮できません。基本、二度塗りをお勧めします。  また顔だけではなく、年齢がよく現れるといわれる“首を含むデコルテ部分”と“手の甲”にも必ず塗るようにしましょうね。 ●勘違い:涼しい高原は紫外線が少ない  避暑地でたまにある勘違いは、標高が高いところでの紫外線対策。海と違って紫外線カットは怠っても大丈夫と思っているのでしたら大変ですわ。標高が1000メートル高くなると紫外線量が10~20%増えるというデータもあるほど。空気もキレイなのは嬉しい事ですが、埃で紫外線が減弱しないので、余計に気をつけましょう。 ⇒【後編】「SPF30の意味って?意外と知らない紫外線の基礎」に続く http://joshi-spa.jp/307821 <TEXT/岩本麻奈> 【岩本麻奈】 1964年生まれ。皮膚科専門医、一般社団法人日本コスメティック協会代表理事。 東京女子医大卒、慶應大学医学部皮膚科学教室で研修後、済生会中央病院などに勤務。3児の母。97年渡仏し、現在はパリ在住。著書は『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』『パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ』など多数 。 公式ブログ http://ameblo.jp/dr-mana/
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