不妊治療で600万円がムダに…養子でなく「里子」を迎えた40代の選択

「一部の成功例があり、それを真に受ける風潮がありますが、30代後半の不妊治療はかなり厳しく、成功例以上に諦めて子どものいない人生を余儀なくされる人が多数いることをもっとアナウンスすべきです」

 そう語るのは、6年間に600万円を費やしてさまざまな不妊治療を行った、漫画家の古泉智浩さん(46歳)。2回の着床と2回の流産を経て、古泉さん夫婦が行き着いたのが、「里親」(※1)という選択でした。そのいきさつと、里子との微笑ましい日々を綴った彼の漫画エッセイ『うちの子になりなよ(ある漫画家の里親入門) 』(イースト・プレス)がいま話題を呼んでいます。

うちの子になりなよ

里親ってどうやってなるの?



「里親」は、多くの人にとって、聞いたことはあってもよく知らない制度なのではないでしょうか。「どうやってなるの?」「養子とどう違うの?」など、すぐにいろいろな疑問が湧いてきます。まず、里親になるには、児童相談所などによる研修と調査を経て、行政から里親認定を受ける必要があります。

 その研修の中で、古泉さんはたとえば以下のようなことを知ったそうです。

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・里子の親権は実親にあり、苗字も実親のもの

・里親の苗字を「通り名」として使用できる(ただし、保険証や銀行口座は本名で登録)

・養育権は里親にあり、養育費が毎月、行政から支払われる
(古泉さん曰く、“そこそこのフリーター並み”の金額。里親手当額について厚生労働省の資料はコチラ

・里親には守秘義務があり、里子の個人情報や写真を公表・公開してはいけない

・里子が物心がついたら、「真実告知」(実の親じゃないと伝える)を行うことが推奨されている

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「要するに、養子は完全に戸籍に入る家族である一方、里子はよその子を預かっているだけで、本来は実親さんの元に返すことが前提となっています」(古泉さん)

里子か、養子か



 もちろん養子がほしかった古泉さん。でも、「条件をつけるとそれだけ子どもが来るのが遅くなりそうなので、里子でも、養子でも、どちらでもいいと希望しました」。

 その選択が正しかったのか、研修を終えて認定を待つあいだに、男の赤ちゃんを里子に迎えることになりました。

うちの子になりなよ_1

『うちの子になりなよ(ある漫画家の里親入門) 』より

 通常、親になるまで10カ月ほどの準備期間があるところ、古泉さん夫婦は約1週間で、抱っこの仕方、ミルクのあげ方、沐浴、オムツ替えなどを習うことに。里子になる子供の年齢で一番多いのが7~12歳なので(※2)、むしろ「親試し」(里親の愛情を試すために、わがままの限りを尽くすこと)を覚悟していた古泉さんたちにとっては嬉しい悲鳴だったようです。

うちの子になりなよ_2

『うちの子になりなよ(ある漫画家の里親入門) 』より

欲しがるほど手に入らないのが子ども



 今は里子の赤ちゃんと幸せな日々を送る古泉さんですが、30代半ばに差し掛かるまでは、子どもを欲しいと思ったことがなかったそう。実は、古泉さんには別れた婚約者とのあいだに実の娘がいました。2歳の時に初めて会い、4歳の時に会ったのが3回目で、それが最後。

 実の娘に会ったことで、古泉さんの中で「誰かを守りたい、愛したい」という気持ちが強く芽生えたといいます。でも、それから出会った現在の奥さんとのあいだには、なぜか子供ができない日々が続くことに。

「欲しがれば欲しがるほど手に入らないのが子ども。いらない時、欲しがっていない時にできるのが子ども、という印象があります」

 そんな自身の経験を経て、「『20歳で第一子をつくっておくべきだ』と常々人に言うことにしています」と古泉さん。

「バブル期に青年期を過ごし、個人主義がもてはやされた世の中で、誰も家族の大切さや子育ての魅力を語っていなかった。僕も子どもを持ちたいなんて微塵も思わず中年期を迎えてしまいました。

 子どものいない人生を選択する人もいるし、子どもが持ちたくても持てない人がいる。だから、子どもを持った方がいいなんてあまり言うのはよくないという意見もあるでしょう。でも、僕のように、普通の性交渉による子作りに出遅れ、不妊治療に出遅れないようにしてほしいんです

「20歳で第一子」はさすがに極端に思えますが、だからこそ、古泉さんの切実な想いが伝わってきます。「子どもはいつかはほしい」とはよく聞く言葉ですが、「いつか」と棚上げするリスクを肝に銘じないといけないのかもしれません。

※1 里親には、「養育里親」「専門里親」「養子縁組里親」「親族里親」の4種があり、古泉さんの場合は「養育里親」
※2 平成25年度末の福祉行政報告例より

<TEXT/女子SPA!編集部>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

うちの子になりなよ (ある漫画家の里親入門)

子どもがほしい…。6年間で600万円、不妊治療のどん底で見つけた希望の光。里親研修を受け、待望の赤ちゃんを預かった著者(40代・男)が瑞々しくも正直に綴る、新しいタイプの子育てエッセイ。

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