意外!職場で恋がめばえやすい“引っ越しバイト”

→前編「月収30万ってホント?」はコチラ

引越屋さんは実は職場恋愛が多い!

 あんな汚く、汗臭い現場で恋に落ちるわけなんてない……そう思うのは素人である。  その後、数々の職場を経験した私だが、引っ越し業者ほど従業員同士でくっついたり離れたりと、職場恋愛しまくっていた場所はなかった。そう断言できる。  まぁ、わからなくはない。朝から晩まで、家族より長い時間一緒にいて、大変な共同作業をするのだ。汗は臭いだけでなく、フェロモンとか入ってるのかもしれないな……。  この環境ですら、モテないために遠目で観察していた私だったが、ある日、恋に落ちてしまった!
引越しスタッフ

やっぱり男は力持ちなほうがカッコいい…

 それは新築物件に、荷物を搬入する日だった。ダンボールを抱え、階段を駆け上がる私。張り切りすぎて、足を踏み外してしまったのだけれど、ダンボールを抱えているので、手すりに掴まることができない。ストップモーションのように落ちていく。  あ、死ぬわ。そう思った瞬間、私はたくましい男の腕の中にいた。  壁の養生をしていたスタッフがガシッと片手で抱きとめてくれたのである。その時、私の体重は60キロ弱。階段から落ちると共に、恋に落ちた……一方的に。  そんな可愛いらしい恋にうつつをぬかしている私の横で、あんまり可愛くない恋をしている人々もいた。二股、三股でもめてる人、不倫やダブル不倫、男の子が男の子を襲った……なんて穏やかでない話まで。  引越作業をすると恋が芽生えやすくなるのか、性欲が増すのか、わからないが、晩婚化の昨今、私は提案しようと思う……「引越婚活」を。

引越しバイトはキツイけど面白い

 2~3ヶ月だけ働く腰掛けバイトとしてすぐ消えようと思っていた私が、なぜ8年もやってしまったのか。事情は色々あるけれど、一番の理由は面白かったからだと思う。 引越し(1)ヒーローになれる  引越しシーズンの3月~4月は、本当に目も回る忙しさで、一日に10件分の作業を行うなんてことも珍しくない。その最も忙しい時期が、私はとても好きだった。  忙しい時期はスタッフが分散するので、大変な現場でも少人数だったりしてハマる(=うまく作業が回らない)現場も続出してしまう。そのような現場には、他の現場を終わらせてきたスタッフたちが大集結する。この応援にくる人こそ、ヒーローなのだ。  自分がハマった場合、ヒーローたちが現れると涙が出るんじゃないかというほど嬉しいし、自分がヒーローとなってハマった現場にいったときの歓迎ムードたるや、味わったものにしかワカラナイ気持ち良さだと思う。 (2)便秘解消みたいなスッキリ感  引っ越し作業の気持ちよさは便秘解消に似ている。  すべての荷物を梱包して、トラックに運び、何にもなくなったところを思う存分、掃除する気持ち良さといったら…。まさに便を出し切った時のような高揚感だ。 (3)お客様の笑顔  どんなに辛い現場であろうと、最後にねぎらいや感謝の気持ちがお客様から伝わってくると、本当にやってよかったと、心から思えるのだ。 <TEXT/尾山奈央> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
尾山奈央
1980年生まれ。脚本家、エッセイスト。著書に『1年で20キロやせた私が見つけた月1断食ダイエット』(泰文堂) http://oyamanao.com/
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