増えるシェアハウス難民。派遣OLは「お金がなくて抜け出せない」
昨今、問題になっている「女性の貧困」。単身女性の約3人に1人が貧困状態だという統計もあるが、どのように貧困に沈んでしまうのか――。当事者を取材してみた。
<西山晴子さん(仮名・29歳)
派遣社員>
現在、渋谷区内の女性専用シェアハウスに住む西山さん。月の賃料はドミトリー(二段ベッドが並ぶ相部屋)で約5万円。場所柄、それほど安くはないが「前に住んでいたシェアハウスは住民同士のトラブルも多かったので、今はここで満足している」という。
本音では一人暮らしを望む彼女だが、引っ越し資金がネックになり20代の大半をシェアハウスで過ごした。
「実家は千葉県にありますが、父親と仲が悪いというか……、家にいた頃は殴られることもあったので、もう帰りたくありませんね」
’09年に短大を卒業。ところが、当時は激しい就職氷河期で希望した事務職はまったく決まらなかった。とにかく実家を離れたい一心で、就職したのが寮制度のあるパチンコ店。そこで2年間勤めたが、腰を痛めたり全身ボロボロになり、辞めざるをえなかった。
その後、ハローワークの職業訓練学校にも通ったが、「だからといっていい就職先が見つかるわけでもない」という。結局、非正規の仕事を転々としている。
「ときには派遣先から急に雇い止めに遭うこともありました。そうなると急に収入が途切れる。今は時給1500円で残業代もつく会社にいますけど、やっぱり正社員の仕事を探したいです」
さらに、短大入学時に自分の名義で借りた奨学金の返済もある。
「月に2万円弱ですけど、収入が少ないなかでは地味に痛い。返済し終わるのが今のペースだと10年後くらいです。一人暮らしとか将来をちゃんと考えられるのは、それが終わってからかな……」
そんな暮らしを夢見ながら、彼女は今夜も二段ベッドで眠りにつく。
★晴子さんの未来予想図
今のハウスに40歳の人がいて、その人みたいになってそうです
― 女性の貧困化、知られざる実態【3】 ―