ヘビメタアイドルBABYMETALが欧米で大ヒット。その音楽的なみごとさとは

  2月26日に発売された同名のデビューアルバムで話題沸騰中の三人組アイドル、BABYMETAL

  雑誌『BURRN!』をずっと愛読してきたであろう往年のハードロック、へヴィメタルファンをもうならせる硬派なサウンド。それに乗せて平均年齢15歳の女の子が叙情たっぷりのメロディを歌い上げる姿に、「その手があったか」と思われた方も多くいるのではないでしょうか。

BABYMETAL その人気ぶりは日本以上に海外で高まっている様子。YouTubeに寄せられた英文のコメントの多さから、欧米のitunesチャートで1位を獲得するのもうなずける話です。

「ずきゅん!どきゅん!」は、お見事!



 当然15歳前後の女の子にヘヴィメタルのサウンドをあてがうということは、他のアイドルとの差別化や、過去になかったアイデアを試みるという戦略的な側面が大きいでしょう。しかし、大事なことはBABYMETALの音楽がその奇抜な組み合わせに甘えて、ネタとして聴き手を笑わせようとしていないことなのです。

 彼女たちの代表曲のひとつである『ギミチョコ!!』は、そういった制作陣の抑制された真剣さが見事に結実した一曲です。

●BABYMETAL – ギミチョコ!!-(http://youtu.be/WIKqgE4BwAY)



 冒頭、本来ならば喉の粘膜を紙やすりで砥いだような男性ボーカルの叫びが聞こえてきそうなスラッシュメタル的展開で、YUIMETALとMOAMETALの二人は10代の女性にとって無理のない声のトーンで、このように歌います。

<あたたたたた ずっきゅん! わたたたたた どっきゅん! ずきゅん!どきゅん!ずきゅん!どきゅん!>

 ここに作詞を担当したMK-METAL、KxBxMETAL両氏の技が光っています。楽曲の速度とサウンドの音域と音量。それに対抗して10代女性の声で、意味や情景を正確に伝達する歌詞を歌わせたのでは速度に追いつかず、音量に埋没してしまう。

 そこで作詞家が考えたのが、言葉を音として使うことに限定することなのです。と同時に最低限の心象が浮かび上がってくるオノマトペであることも間違いない。サウンドが課す物理的な制約と楽曲に場面を出現させるための条件とが、ぎりぎりの交渉をすることで生まれたフレーズだと言えるでしょう。メタルファンの中には、“ずきゅん!”と“どきゅん!”の応酬に、メタリカの『Through the never』を思い出す人もいるかもしれませんね。

 そうしてメインボーカルのSU-METALが歌うサビへと進むと、はっきりとした長調へと場面が入れ替わり、クリシェとともにポップスを聴いているという安心感を与えるメロディになります。しかし、聴き手が「もっと聴きたい」と感じるその前に、メロディは切断されます。そして、再び同じフレーズを繰り返す。まるで聴き手の気持ちを見透かしているかのようです。作曲を担当したのは、元ザ・マッド・カプセル・マーケッツの上田剛士氏。お見事の一言です。

『Walk』をカバーしてほしい



 ところで、このアイドルとメタルという考えもしなかったアイデアが実現される遥か前に、カントリーとメタルという配合を実現したミュージシャンがアメリカにいたことはご存知でしょうか。

『Finger fucking Sally』(※訳せません)や『I just want to fuck you one more time』(お願いだからもう一回だけヤラせてください)などの曲でカルト的人気を誇る前科持ちのカントリーシンガー、デイヴィッド・アラン・コーと、93年の大ヒット曲『Walk』で知られるヘヴィメタルバンド、パンテラによるRebel Meets Rebel。

 途中、パンテラのギタリストだったダイムバック・ダレルが凶弾に倒れるという不幸を乗り越えて、06年にバンド名と同じタイトルのアルバムを発表しました。特にタイトルトラック『Rebel Meets Rebel』は、いち要素ごとに分解されたカントリーのバンドサウンドが、ヘヴィメタルのサウンドへと正確に転換しています。その難易度たるや、もしかしたらBABYMETAL以上のものかもしれません。

●Rebel Meets Rebel – Rebel Meets Rebel(http://youtu.be/RERzMSCtz9k)



 先ごろ、アイドルグループBiSと日本のノイズバンド「非常階段」とのコラボレーションが話題を呼びましたが、もしBABYMETALがRebel Meets Rebelを従えて歌うようなことがあれば、BiS階段のインパクトは軽々と超えてしまうでしょう。「さすがにアラン・コーさんはおっかなすぎる」ということであれば、せめて『Walk』だけでもカバーしてほしい。

『イジメ、ダメ、ゼッタイ』のようなトーンで「歩け!!」と直訳して叫ぶYUIMETALとMOAMETALが、日本のロック、ポップスに新たな響きをもたらすかもしれません。

●Pantera – Walk (Official Video)(http://youtu.be/AkFqg5wAuFk)



<TEXT/音楽批評・石黒隆之>

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