新型コロナウイルスの感染力はインフルエンザより強く、一方で、はしかに比べれば弱いそうです。ただ、「ステルス能力」が高く、潜伏期間が長かったり無症状の人がいたりして、自分が知らないうちに感染して、知らないうちに他の人に感染させてしまう可能性があります。 　また、無症状の人がいれば重症・重篤になる人もいて、重い病気となるかどうかは「人による」のです。でも、このウイルスがもたらす「最悪の事態」がどんなに悲しくつらいものか、いくつもの訃報に触れ、わたしたちはもう知っています。 　ウイルス自体が持つ感染力はともかく、「感染のしやすさ」は対策次第で下げることができます！ まさにここが、わたしたちの戦うポイントになるわけです。 　ワタリさんは「新型コロナウイルス」目線で、その対策の意味を解説しています。つまり、“やつら”のイヤがることをすれば、感染を防ぐことができるというわけ。

●手洗いは何のためにするのか

「『接触感染』が得意な俺たちにとって、『手』は命綱」――。 　だとしたら、その命綱を断ってしまいましょう。さきほど、新型コロナウイルスは「殻があぶら」だと言いました。それが大きな弱点です。石けんなどの界面活性剤やアルコールは、脂で覆われている新型コロナウイルスの殻を壊してくれます。 　帰宅したらとにかくすぐに手洗いを。おやつや食事、片付けもすべて、「アフター手洗い」に行いましょう。洗うときは、ウイルスのボディを壊すイメージでしっかりと、石鹸を使い流水で20秒以上かけられるとよいですね。ウィル・スミスの1880万分の1というこのウイルスは、指先や爪の間にも潜んでいるかもしれません。親指も洗い残しがちなので念入りに。

●ソーシャル・ディスタンスとは

　ウイルスは自分だけでは増えることはできませんから、飛沫にのって別の人の体内へと侵入しようとします。他者との距離――ソーシャル・ディスタンスとして2メートルを保ちましょうというのは、これを防ぐため。 　スーパーのレジ待ちやランニング中の他の人との距離、コウテイペンギンの親（120センチ）＋子（80センチ）の距離が保てているでしょうか。買い出しに行くときだって、家族総出ででかけるのはNGです。 「ステイホーム」はストレスがたまります。でも、新型コロナウイルスは「インドア野郎」が嫌い。ヤツらから嫌われるのは大歓迎！ ですよね。

●時間稼ぎは何のためなのか

「できるだけ、急速に感染者を増やしたい」というのが、ウイルスの望み。 　急激な増加を許してしまうと、医療現場はキャパシティを超えてしまい、助けられる人も助けられなくなるだけでなく、さらなる感染拡大につながります。しかし逆に、感染の広がりがゆるやかになれば医療現場が確実に対処でき、かつ、その間にワクチンや治療薬の開発を進めることができます。 　ガマンを強いられているように感じてしまう自粛ですが、「時間稼ぎ」という重要なミッションを担っているのです。 　残念ながら、緊急事態宣言が解除されても、すぐに“コロナ前”に戻ることはないと思われます。新型コロナウイルスとのつきあいはもう少し、長くなりそうです。 　ウイルスにしてみれば、このぬまがささんのイラスト図解が広がることは、不都合なことにまちがいありません。ぬまがささんも「印刷してご家庭で回したり知り合いに送ったり部屋に貼ったり、個人使用の範囲で自由に活用して」と言っているので、どんどん拡散しちゃいましょう！　 ＜文／鈴木靖子、イラスト／ぬまがさワタリ、監修／峰宗太郎＞ 参考　ぬまがさワタリ「イラスト図解！ これが新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）だ」 【イラスト図解の参考文献（ぬまがさワタリさんによる）】 ○日経サイエンス 2020年5月号 「特集：新型コロナウイルス」 ○Newton 2020年5月号 「緊急特集 新型コロナウイルス」 ○動画「コロナウイルスとは何か & あなたは何をすべきか」 ○Coronavirus is not the flu. It’s worse. ○【図解】知っておきたい新型コロナの基礎知識まとめ ○BBCニュース「家にいることで人の命を助けられる　新型コロナウイルスで外出制限」 ○新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会 ○山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信 ○厚生労働省のHP「国民の皆さまへ （新型コロナウイルス感染症）」