パチンコ店が営業再開されても、戻れない職種が…女性バイトの嘆き
多くの施設、店舗が緊急事態宣言中は閉鎖や休業を余儀なくされていましたが、現在はその多くが営業を再開。街を活気を取り戻しつつありますが、なかには今も休業を強いられたままの人も。
「お店は緊急事態宣言が解除された後、営業を再開しましたが、“感染予防策の一環”という理由で私が勤めるドリンク販売コーナーは閉鎖されたままです。
契約スタッフとして週5日フルタイムで働いていましたが、その実態は時給制の単なるアルバイト。おかげで休業補償なども一切ない状態です」
悲痛な声を上げるのは、沢辺みやびさん(仮名・22歳/コーヒーワゴンサービス従業員)。パチンコホールで遊技中のお客に飲み物を販売する仕事ですが、ホール側の方針でサービス再開の時期も決まっていないそうです。
「ワゴンサービス自体は、パチンコ店ではなく別会社の運営なんです。本部に問い合わせても『先方の判断になるから』と言うだけ。
スターバックスなどの大手コーヒーチェーンだって今は営業を再開しているじゃないですか。だから、大丈夫だと思うんですけどね」
問題があるとすれば、パチンコホールという場所かもしれません。緊急事態宣言中、各自治体は休業自粛を要請しましたが、一部ホールは反発して営業を続行。その様子はニュースやワイドショーで連日伝えられ、大パッシングが起きたのは記憶に新しいところです。
しかし、自粛要請に従った大半のホールにとってはいい迷惑。これ以上のイメージ悪化を防ぐため、神経質なくらいコロナ対策を行っており、ドリンク販売の営業再開を認めないウラにはそうした事情があったのかもしれません。
「でも、そのせいで収入を絶たれて、50万円あった貯金はすでに残り半分。2年前に今の仕事を始めて、少ない給料の中から頑張って貯金していたのに……。家賃など固定費もあるので節約してもあと2か月しか持ちこたえられません」
仕事を変えることも考えましたが、彼女が希望する接客の仕事は軒並み採用をストップ。高校卒業後、進学せずに働いていましたが前職も販売員だったこともあり、未経験の仕事には二の足を踏んでしまいます。
「私は大学も出ていませんし、人に誇れるような職歴を持っているわけでもありません。それに周りの人からすれば、私もパチンコ店の従業員だと思っている人は多いはずです。
実際にどんな仕事をしているか話すと、見下した態度を取ってきた人もいますし、職業差別を受けていると感じます。ほかにもネット上にはパチンコに対して目を覆いたくなるような辛辣な書き込みも多いじゃないですか。
私もこんな状況なので求人サイトを調べたりはしますが、履歴書を見て先方の担当者は心の中で笑うんじゃないか、面接でもバカにされるんじゃないか、そう思うと応募するのも気が引けてしまうんです。世間から底辺の仕事って思われている気がして……」

以前は毎日仕事があったため、そこまで卑屈に考えることはなかったようですが、今は毎日ずっと家にいる状態。時間だけはたっぷりあるうえ、仕事や金銭面の不安からネガティブな方向に物事を考えてしまうそうです。
「こうやって話をしているうちはまだいいですが、今は誰とも付き合ってないから心細いときに頼れる人もいなくて。ひとり暮らしがしたくて親元を飛び出してたんですけど、やっぱり実家に戻ったほうがいいんでしょうかね」
休業がいつ終わるかもわからず、頼みの綱の貯金も目減りしていて残された猶予はあとわずか。不安から心のバランスを崩すなど精神的にも追い込まれているようです。
コロナがなければこんなことにはなっていなかったはず。感染などの直接的な被害がなくても当たり前の日常を壊してしまうところに恐ろしさを改めて感じます。
<文/トシタカマサ>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
フルタイム勤務もアルバイトなので休業補償はなし

別の仕事を探そうにも求人に応募できない

不安で押しつぶされる寸前
トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。