夏の「マスク日焼け・マスク肌荒れ」はどう対策する?医師に聞いた
――③の摩擦。ゴムをかけていると耳が痛くなるというのは良く聞きますが、肌もダメージを受けているのですね。
小林:摩擦による肌荒れは、マスクのゴムがきつくて肌と摩擦を起こし、皮膚のバリアを弱めてしまうために起こります。バリア機能が低下した肌は乾燥しやすくなりがちです。マスクをしているときは保湿されていても、マスクをとるとすぐに乾燥気味になり、乾燥しているのに脂っぽいベタベタした状態になることもあります。
マスクのゴムは顔の大きさに合わせて調節するとよいでしょう。とはいえ、隙間が空くとマスクとしての機能が損なわれるので、顔にマスクが密着するギリギリのサイズがいいと思います。
④のニキビは上記の②と③で弱った肌に雑菌が繁殖し、ニキビになることがあります。ニキビができたときは、皮膚科に相談するのが一番です。難しい場合は、ニキビ用の化粧水で保湿してください。その際、皮膚への刺激を抑えるためにコットンは使わず、手のひらでやさしく肌につけてください。
――では、どのようなマスクを選ぶのが正解なのでしょうか?
小林:肌への摩擦を軽減するために肌触りの良いもの、あとは先述した通り、ゴムの長さを調節できるものがいいでしょう。1日に何度か取り換えることを考え、ガーゼなど洗濯できる素材がいいですね。
――なるほど、逆におすすめしないマスクとしてどのようなものがありますか?
小林:マスクの内側にあてたガーゼのみ取り替える、インナーマスクは、マスクの端やゴムの部分が不潔になってしまうのであまりおすすめしません。やはり全体を取り換えられるものを選ぶとよいでしょう。他にも、蒸れやすい素材も肌荒れを起こすリスクがあるのでNGです。
最近、ラテックス製のマスクが流行っていますが、天然ゴム(ラテックス)アレルギーのある方は肌荒れやかゆみ・炎症などのトラブルを起こすかもしれないので注意が必要です。アボカド、キウイフルーツ、パインなどを食べるとかゆくなるという方はラテックスアレルギーの可能性が高いので注意しましょう。使ってみて少しでも肌の調子がおかしいと感じたら、使用を中止することです。
――マスクで顔のほとんどが隠れているし、汗をかいて蒸れるからファンデーションをつけるのは正直、気が引けます……。この時期に化粧をしたい場合はどうすればいいでしょうか?
小林:マスクをしていると蒸れや擦れで、どうしてもメイクが崩れやすくなります。そこで、通常より軽めのメイクをしてみましょう。化粧下地は、毛穴やくすみをカバーするもの・皮脂を抑えるものなど、現在の肌の悩みに合わせて選ぶとよいでしょう。化粧下地を塗った後のベースメイクは、お粉で軽く抑える程度がいいと思います。
チークを入れたい場合は、パウダーよりもクリームやリキッドタイプの方が肌に密着するので崩れにくくなります。
また、今夏は日焼け止めの塗り直しがしやすいように、かっちりメイクをお休みしてアイメイクを楽しんでみてはいかがでしょうか。マスクの色とアイメイクを合わせてみるのも素敵だと思います。
――なるほど。では今年のスキンケアで特に気をつけることはありますか?
小林:先述した通り、汗を書いたらマスクを取り換え、日焼け止めをこまめに塗りなおし、保湿過剰にならないよう基礎化粧品は軽めにしましょう。夜は肌のバリア機能をケアするために保湿はたっぷりめで。サプリメントとして市販の「飲む日焼け止め」をとりいれてもいいですね。
――飲む日焼け止めですか。体の内側から紫外線対策ができるのですね! 最後に、夏のスキンケアについて、読者にメッセージをお願いします。
小林:紫外線は皮膚の細胞や細胞のDNAをも傷つけてしまいます。これらの傷は一度できてしまったらもう治らないため、場合によっては皮膚がんになる恐れもあります。
シミ・シワ対策で紫外線対策をすると思われがちですが、実際には健康にも影響を及ぼすので、しっかりとしたケアが必要です。熱中症に気をつけて、マスクだけに頼らず日傘や帽子も併用しながら紫外線対策をしっかり行いましょう。
<文/林加奈>
マスクを正しく選び、肌へのダメージを最小限に

チークはリキッドに。アイメイクを楽しもう

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