――ところでボイメンのみなさんは、ドラマ映画での活躍も著しいですよね。最近では『おいしい給食』も印象的でした。
水野:ありがとうございます! 映画版では僕も教育実習生役で出させていただきました。メンバーも口には出さないまでも、グループの活動におんぶにだっこではダメだと思っていると思います。辻本(達規)はバラエティーをやりたい人なので、自分のやりたいことを明確にし始めている。それぞれ、目指す領域にはより責任をもって現場現場に戦いに行くようになりました。
――なるほど、各人で明確な目的意識があるんですね。
水野:だからコロナで会えなくても安心していたんですよ。みんなそれぞれ戦っているなってわかるから。みんな力をつけていて、いいじゃん、みたいな。だからテレビとかで活躍を観ているとうれしかったですよ。
――注目している映画人などはいますか?
水野:それで言うと、韓国映画・ドラマですね。『パラサイト 半地下の家族』の流れもあるのですが、すごいですよね。世界的にも認められだして。韓国の映画人の方たちって、専門の学校で学んでこられているので、演技も脚本も一流。クオリティーが間違いないですよ。そういう日本とはまた違った、突出した感じがあこがれでもあります。誰それっていうのではなく、韓国映画・ドラマ市場に注目しています。
――たしかに、近年の勢いはハンパないですよね。
水野:最近はNetflixでも連続ドラマなどを配信しているんですけど、制作の規模がすごいですよ。本当にハリウッド級の規模感でやっていたり、低予算でもめちゃくちゃ脚本が面白かったりとか、なんだかすごい。もちろんビジネスなんだけど、ビジネスのためにやっている感じがしないので、そういう意味でもすごいと思います。
――さて、ボイメン結成10周年、いままではご当地アイドルのかわいさもあったと思いますが、今後は“力強さ”みたいなキーワードも出てきそうですよね。
水野:そう思います。僕はいま転換期だとよく言っていて、やっぱり若い子もいろいろ出てくるじゃないですか。ただ実は僕たち、それほどアイドル、アイドルしていないんですよね。そのなかで長く続けていくには、いろいろな課題が出てくることもわかっている。少なくともリーダーとしての僕はわかっているつもりなので、この転換期にグループの違う形を模索したい。それを作っていかないと、今のままでは厳しいですよね。
――非常に楽しみです。こういう映画で活躍を示してくことで、ボイメンを知らない人がボイメンを知っていきますね。
水野:昨年、ベッドシーンにチャレンジしたのですが、今年も『癒しのこころみ』を含めて4作品公開作品があり、挑戦は続いています。そこでまた知ってもらえたらと思います!
――ファンのみなさんに投げかけたい一言はありますか?
水野:「元気?」ですよね。会えてないんです。ライブもできていないですし、まだまだかかると思う。これは大勢の命にかかわる問題なので、タイミングが重要ですよね。僕は慌ててやる必要はないと思っているけれど、個人的にはそういう場所じゃないと直に会える機会がないので、なるべく早く提供したいと思っています。
――やっぱりライブが一番ですよね!
水野:生に勝るものはないですよね。ビールと一緒で(笑)!
――そういうグループですからね。
水野:脚を使うグループなんです。47都道府県、ファンの皆さんに会いに行ったり、それがいまできなくなったことは、ちょっと寂しいです。
――最後になりますが、この作品を観る方々に、どういうメッセージを贈りたいですか?
水野:嫌なことから逃げ出してしまうとか、自分の弱い部分って、今なんとなく否定しやすい世の中になっているかなって、個人的に思うんです。「弱いから負けてる」とか「失敗するなよ」とか。いまSNSも問題になっていますけど、自分の居場所ってなんだろうって悩んでいる人も多いと思います。
でも、この映画は人間の弱い部分を否定する人がほぼ出てこない。それは別に偽善ではなく、ちゃんと寄り添っているということなのですが、これってすごいことだなって思います。世の中の状況に関連付けると不謹慎だと思う人もいるかもしれません。でも、この時期に公開されたからこそ、この映画がそういう意味を帯びるんですよね。だから、僕はそういう視点でも観てほしいです。
――寄り添うって難しいですよね。
水野:難しいです。だからこそ主人公の姿を観てほしいです。見返りを求めて映画を観るわけじゃないですけど、きっと自分にも返ってくるようなところはあると思いますね。寄り添うって一番難しいし、一番大事なことだし、今の時代に一番求められていること。だからこそ今観てほしい、そう思います。
<取材・文・撮影/トキタタカシ ヘアメイク:笹浦麻記(エミュー)>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、
インスタグラムにて写真レポートを行うことも。