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「逃げ恥」平匡さんから「MIU404」志摩、すべてが星野源である理由

今回はいつもと違うというよりも、星野源は常にいつもと違う

 星野源は自分の世界が確立されたアーティストであって、いろんな役ができてすごいという若手俳優への讃辞みたいなものとは無縁だとは思う。もちろんアーティストだって、今回のアルバムはこれまでと作風を変えてみた、とかいうことはあるし、作風を変えたら、いままでと違うとファンから不評を買い、絶望しながら自身を貫いたという伝説をもつ世界的なアーティストだっている。そう思うと、星野源の場合、星野源らしいからしくないかということから慎重に距離を置いているように感じるのである。  例えば、彼はいまや草食系の代名詞のようながら、ラジオでは積極的にシモネタをしゃべっている。また、朝ドラ「半分、青い。」(NHK)の主題歌「アイデア」で、朝ドラで流れていた部分はものすごく明るく爽やか前向き、いかにも“朝”というふうだったのが、朝ドラで流れなかった2番になると、がらりと反転して、夜の闇の世界をのぞかせた。コント番組「LIFE!」(NHK)で演じた親友思いが行き過ぎて重い“オモえもん”というキャラでは、友達を想ってニコニコ穏やかに微笑んでいるオモえもんからねっとりした束縛の感情が漂っている重層性。音楽バラエティー「おげんさんといっしょ」(NHK)では、女装してお母さん役で、女性の高畑充希が男装してお父さんをやっているという逆転も。
 このように星野源はいつでも人間のもつ光と影の二面性をその都度出し入れしながら、音楽をやったり、芝居をやったり、エッセイを書いたり、常に流動しているのである。だから、今回はいつもと違うというよりも星野源は常にいつもと違うのである。
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それまでのドラマで主役を張る俳優の定義を逆転させた
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