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看板猫「ジロリ」がお出迎え。浅草演芸ホールの猫は今日もお仕事中

まるで講談?くんずほぐれつ、大ネズミと一騎打ち

 ネズミを捕まえる猫なんて最近とんと見かけませんが、ジロリは夜中になるとおっとりモードから俊敏なハンターモードに変身します。そんなハンタージロリはある日、“演芸ホールのボス”と壮絶な戦いを繰り広げることになるのです。 jirori4「館内にはボスと言われる、ちょっと大きいくらいの子猫サイズのネズミがいました。いつもなら朝私が出勤するとホールの入口まで迎えにきてくれるジロリですが、その日はまったく影も形もなくて。売り場の部屋に向かうと、ジロリが物凄い形相で部屋の一点を見つめていたんです」  いつもと違う朝。売り場の中にはギラギラと眼光するどくいきり立つジロリ。無残にも引き裂かれた無数の紙切れと猫の毛が舞い、それがまた相当の強敵であることを物語っている。ジロリの視線の先にある猫用トイレ。  そしてその陰でうごめく影。  なんとそこには体重6キロのジロリに引けを取らない、館のボスと言われてる大ネズミの姿があった……!

大捕物の結果はいかに…?

「もうお互いに凝視していて一歩も動けない状態です。私が出勤するまでにも相当戦い続けていたようで、部屋の荒れっぷりもすごくて。部屋中に張り詰めたような緊張感が漂う中、次の瞬間にジロリが暴走列車のごとくボスネズミに突進していきました」  一瞬のタックルに息をのむ暇もなく、ジロリは大ネズミを視界にとらえる。  迫るジロリ、ひるむボスネズミ。  しかし、ついに勝負が決したかと思った次の瞬間、なんとボスネズミはひらりと華麗に宙を舞ってジロリという巨体を飛び越えていく……!  まさえさんのお話は、まるでテンポもよくキレもいい講談を聞いているようです。とにもかくにも、大捕り物を繰り広げた浅草演芸ホールのジロリ。ボスを完全に仕留めることはできなかったそうですが、それ以来ボスの姿はぱったり見なくなったとか。男ジロリ、人知れずひっそりと戦いに明け暮れていたのかもしれません。  おっとりとした愛嬌のある癒しキャラ、そしてやるときはやる猫、ジロリ。そんな緩急メリハリのついたイケメンジロリは、比較的午前中ならば売り場で窓越しに会える確率が高いそうです。 ●ジロリのTwitter @mistresskuro444 <文/青山ゆずこ>
青山ゆずこ
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird
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