今のJポップにはないガチダサ・パワー。これぞ個性!
ただ、これもパーク氏の人徳なのでしょうか。どんなファッションでも、不思議なことに、嫌な気はしません。むしろクセになってしまう。臭いと分かっていても嗅ぎたくなる匂いのような…。

2019年リリースの「FEVER」
思えば、このクサみこそが今のJポップに欠けているものなのかもしれません。いろいろなジャンルの音楽を手際よくまとめ、プロのスタイリストが衣装を合わせる小綺麗な風体は、正解です。なのですが、あまりにも全方位的に模範解答なので、“別にこの人でなくてもいい”感が漂ってしまう。
一方、パーク氏の採点表はデコボコです。歌やダンス、曲は高得点でも、ファッションを含めたビジュアル全般がひっくり返してしまう。誤解のないように申し上げておくと、決してパーク氏がイケメンじゃないとか、そういう話ではありません。ただ、彼の服装が目指す音楽に対して、想定外のボケをかましているような気がしてならない。それが、チグハグなのではないか、という意味なのです。
しかし、この噛み合わなさ具合が、パーク氏のなんとも言えない人間臭さを際立たせているから面白い。“ふつうそこ行くか?”という奇妙な美的センスを、にこやかに貫く愛嬌と我の強さ。そこにこそ、彼でなければならない個性が生じるのですね。
各所で注目を集める名言や語録が説得力を持つのも、こうしたヒューマンな下地があってこそなのではないでしょうか。
男性版Nizi Projectも企画中とか…楽しみ!
今後、男性によるNizi Projectも企画しているというパーク氏。もしや、ハットリくんだらけのボーイズグループが誕生するのでしょうか?
ソロアーティスト、J.Y.Parkのキャリアを振り返りつつ、楽しみに待ちましょう。
<文/音楽批評・石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter:
@TakayukiIshigu4