「確かに生活していく上では、夫にいてもらわないと困る。というか夫からのお金がなければ困る。ただ、夫を愛しているからいてほしいのか、お金を入れてもらいたいからいてもいいと思っているのか。これ、大きな違いですよね。自分でもどちらなのかがわからないんです。
突きつめたらいけない問題のような気がするから」
夫だって離婚はしたくない、娘と会えなくなったりしたら生きている甲斐がないとは言ったが、妻を愛しているから一緒にいたいとは言っていない。夫婦とも、愛情で結ばれているわけではないことを漠然とわかっているのだ。ただ、離婚という「めんどうで損をする選択はしたくない」とミエコさんは言った。
この先、子どもの成長を通して、あるいは日常生活の蓄積を通して、ふたりが本当に結婚してよかったと思えるのかどうかはわからない。
「
もしかしたら、娘が大人になった時点で、やはり夫婦としては解散しましょうということになるかもしれない。ただ、そのときまで夫の不貞の事実はきちんと証拠に残しておくつもり。一方で修復できるものならしたい気持ちもあるんです。だけど急接近してくる夫にどう対処したらいいかわからないんですよね」
夫の不倫によって、妻は自分の本心に目を向けざるを得なくなり、騙し騙し続けてきた結婚生活や夫への気持ちを再確認してしまった。夫の浮気がわからなければ、なんとなく続けられた結婚生活なのに、とミエコさんは苦悩していること自体がつらいと嘆いた。
<文/亀山早苗>