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コロナ禍で雇い止めに。「12月はバイト代4万円だけ」という女性の現実

今のままじゃ東京では暮らしていけない

求人に応募した企業の不採用通知

求人に応募した企業の不採用通知

 彼女は飲食店のアルバイトを続けながら求職活動をしていますが、不採用ばかり。経験のある接客業も最近は求人数が極端に減っていて、ひとり暮らしが再開できるほど稼げる仕事に就けない状況にあせりを感じています。 「解雇されたことは母親に報告しましたが、すごく心配されて『いつでも帰ってきていいんだからね』と言ってくれています。ただ、私はどうしても東京で生活がしたくて地元の専門学校を卒業後、飛び出すように上京してきました。だから、本当はこんな中途半端な形で戻りたくはないけど、そんな悠長なことを言っていられる場合じゃないのは自分が一番わかっています。  まだハッキリと決めたわけではないですけど、近いうちに同棲も彼との関係もきちんと清算して地元に帰ることになるかもしれません」  故郷は東京以上に仕事のない田舎ですが、両親のツテで親戚が経営している会社で働けるそうで仕事の心配はないとのこと。それでも正社員としての採用になるので簡単に辞めることはできず、コロナが収束しても再び上京するのは難しいようです。  憧れの東京に残っても、いつ抜け出せるかわからない貧困生活、そして働き口はあるけど刺激がない田舎暮らし。現在の彩花さんの目の前に2つの選択肢があり、人生の大きな岐路に立っていると言えるでしょう。

青写真通りの人生にはいかなかったみたい

「彼も真面目に仕事はしていますが契約社員ですし、プロポーズされても素直に受け入れることは現実的に難しいです。まあ、そういう話は全然出ていませんし、今の関係を考えれば結婚を申し込まれることもないと思いますけど。  本当は東京で出会った人と結婚して、そのままこっちに住んでということを漠然と思い描いていたんです。地元は嫌いじゃないですがたまに帰省したり、なつかしむ程度で十分かなって。ただ、そんな青写真通りの人生にはいかなかったみたいです」 ===================== ●彩花さんの1か月の収支 収入 10万円(飲食店のバイト代。ただし、12月は半分以下) 支出 4万円(彼氏に払う負担分の家賃・光熱費) 3万円(食費) 6000円(通信費) 1万円(交際費) 1万4000円(雑費) 収支 ±0円 =====================  彼女は明言こそ避けましたが、内心では地元に帰る決断を下している様子。いつ戻るかは決めあぐねているようですが、12月以降のバイト代が激減することを考えると、その時期はそう遠くなさそうです。 「最初はしばらく我慢すればと思っていたけど、アパレル時代も貯金できるほど給料があったわけじゃないですし、今のままじゃ新たに家を借りても数か月で家賃を滞納することになっちゃうから……。  この前、アメリカでワクチンが開発されたってニュースがやってましたけど、私たちが接種できて以前のような生活に戻れるのはまだまだ先のこと。そこまで待っていられるほどのお金もないので」  東京などの都市部は、普段なら求人も多いので非正規雇用でも職はあります。ですが、コロナ禍で、彼女のように生活できなくなる人が急増しています。  特に若い女性の中には、「東京に住みたい」との強い憧れで上京していた人も多いと思います。彼女のように生活苦に陥り、地方の実家に帰る決断を迫られている人はきっと少なくないのではないでしょうか。 <文/トシタカマサ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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