「男性は性欲を抑えられない」はウソ。性に依存する人の“頭の中”
女性が「自分も落ち度があった」と考えてしまう
男尊女卑の考えは、なにも男性だけに内在するものではありません。女性側にも根深く内面化されています。
性犯罪者はしばしば、「自分がやったことで、相手を女として見てやったんだ」などと自分の行為を正当化する発言をします。これは明らかな認知の歪みです。
そして、被害者側からしたらとんでもない話ですが、性被害に遭った女性のなかにも「男性の性欲は抑えられないもの」「性被害に遭ったのは、自分にも落ち度があったからなんだ」など、「自分になにか非があったんじゃないか」と自責してしまう人が多くいるのです。このように被害者が自責してしまう風潮は、加害者の責任を性欲の問題に矮小化してしまいますし、加害者にとってはこの上なく都合の良いものでもあります。
そして「自分が悪かったんだ」という自責の念から、性被害に遭った女性が自暴自棄になって自傷行為的に不特定多数と性関係を持ち、やがて性依存症に陥ってしまいます。
気づかないうちに「男尊女卑依存症」に
斉藤章佳
精神保健福祉士・社会福祉士。西川口榎本クリニック副院長。1979年生まれ。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症回復施設の榎本クリニックで、ソーシャルワーカーとしてアルコール依存症をはじめギャンブル、薬物、性犯罪、児童虐待、DV、クレプトマニア(窃盗症)などあらゆる依存症問題に携わる。専門は加害者臨床で、現在までに3000人以上の性犯罪者の治療に関わる。著書に『男が痴漢になる理由』『万引き依存症』『盗撮をやめられない男たち』など多数


