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子育てして気づいた「私の親は毒親だった」。叩かれて育った女性の生き直し

父と絶縁してみたら、すごく楽になった

 そんな毒親の母とは連絡は最低限取り合っている。しかし、父親とは完全に絶縁したと言う。 お付き合い制度を廃止した女性「ある日夫から『あなたはお父さんのことが嫌いなんじゃないの?』と言われて、試しに距離を置いてみたらすごく楽になったんです。やはり幼い頃、母にモラハラをしていた記憶が植え付けられているみたいです。母は田舎の長男の嫁だったので、父の両親と同居していました。それを考えると、母親は私にひどいことをしたし軽蔑しているけど、家父長制の被害者だったんだなと。  父とは2回絶縁しているのですが、一回目は連絡先を全て着信拒否やブロックしました。でも、一度父が急病で倒れたことがあって、それで母から連絡が来て、仕方なく病院に行きました。でも、その後は『次に会うのはお葬式にしてくれ』と言って絶縁しました。母はなんだかんだで変化はあったのですが、父は変わらないままだったので絶縁しました。盆や正月に会うと必ず喧嘩をしてしまうので」

外の人間関係より息子と一緒にいる方がいい

 小学校も中高も人間関係でつまずいてなじめなかった恵美さん。発達障害の傾向があるのではないかと検査をしたこともあったが、診断はおりずグレーゾーン。よく、育児中の女性は昼間子どもと二人きりでいることに滅入ってしまうと聞くが、恵美さんの場合は、外に出て働くより息子と一緒にいる方が楽だと語る。 「無理して職場や学校で人間関係を築いていたときより、家で息子といるほうが落ち着きます。外で理不尽なことを言われるとストレスですが、息子は大切な存在なので、何をしても可愛いと思えます」 赤ちゃん 現在は専業主婦の恵美さんだが、物を書いて食べていくことが夢だという。今、クラウドワークスなどに登録してほそぼそとウェブライティングの仕事を受けている最中だという。今後、子どもが大きくなったらもう少しライティングの仕事を増やしたいのと基礎を学びたいという。  子どものうちは世界が狭いので、自分がされていることが世間的におかしいのかどうかわからない。恵美さんの場合は大人になってから自分の心の傷に気づいたのだ。今後年を重ねていくなかでまた、気付きを得ることがあるのではないだろうか。 <取材・文/姫野桂>
姫野桂
フリーライター。1987年生まれ。著書に『発達障害グレーゾーン』、『私たちは生きづらさを抱えている』、『「生きづらさ」解消ライフハック』がある。Twitter:@himeno_kei
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