9マス法は、グラフィックデザイナーの今泉浩晃さんが考案されたものですが、私はそれに少しアレンジを加え、発想の幅を広げたり、アイデアや仮説をつくったりするために使っています。
やり方は以下の通りです。

「『鬼滅の刃』ヒットの理由」をテーマにした9マス法
①紙に、短い文章が入る程度の長方形のマスを、縦に3つ、横に3つ並べて書く。
②9マス格子の上に、考えるべきテーマを書いたふせんを貼り、左横に適当なサブワードを3つ、縦に並べて書く。
③テーマ×サブワードの組み合わせで連想したことを、短い文章でマスに書いていく。
④9マスがすべて埋まったら、格子の下にまとめを書く。
上記の見本は、鬼滅の刃がヒットした理由を9マス法で私なりに考えてみたものです。
鬼滅の刃のヒットの理由は、キャラクターの魅力、起伏に富んだストーリー展開など、いろいろと考えられますが、ここでは「感動」「言葉」「ビジュアル」の3つの切り口から思いついたヒットの理由を書き込んでいき、9つ書き終わったら俯瞰して、最後の仮説を作るという作業をしています。
9マス法は、一つの物事を一つの側面だけから見るのではなく、できるだけ多くの角度からとらえる方法です。
そうすることで、一面から見ていただけでは気づかなかったことが発見でき、思いもよらなかったアイデア、ものの見方が生まれます。
ただ、いきなり「ヒットの理由」を考え始めると、「どこから考えたらいいのか……」と思考の迷宮に入り込んでしまうので、まずは切り口を3つ用意するというところが、9マス法のポイントです。
『
ロジカルメモ』では、ほかにも、メモを使ったさまざまな思考の方法、感情を整理する方法をご紹介しています。
みなさん、ぜひ参考になさってみてください。
<文/村本 篤信>
【村本 篤信(むらもと あつのぶ)】
ライター・編集者。1972年大阪府生まれ。都立国立高校、一橋大学社会学部卒業。大日本印刷に入社後、フリーのライター、編集者に転身。主な編集・ライティング担当作は『3000円投資生活』シリーズ(横山光昭)、『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』(小澤竹俊)ほか手掛けた書籍は累計250万部以上。また90年代よりホラー系ドラァグクイーン「
エスムラルダ」としての活動をはじめ、各種イベントでの司会やドラァグショー、コラム連載等を行う。