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幸せな結婚をしたはずなのに…その女性はなぜ凶悪事件を起こしたのか?

 パッとしない毎日だけど、いつか優しくてリッチな王子様が現れて、夢みたいな結婚ができるかもしれない――。そんなシンデレラ願望を持ったことはないでしょうか。だけどシンデレラって、王子様と結婚したあと、本当に幸せになれたんだっけ?
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主人公・小春を土屋太鳳、エリートの夫を田中圭が演じる

 夢のような結婚の「その後」を描いた映画『哀愁しんでれら』が2月5日に公開されます。結婚で狂っていく土屋太鳳と、モラハラ夫・田中圭の演技がコワいこの映画。  そこで、現代のシンデレラを目指す婚活サバイバル番組『バチェラー・ジャパン』(Amazon Prime Video)に参加した2人に、この映画を観てもらいました。

誰もがうらやむ結婚の、とんでもない結末

 映画の主人公は、児童相談所に勤めるアラサー・小春(土屋太鳳)。母に捨てられた過去や数々の悲運の末に、優しくてリッチな医者(田中圭)と出会い、幸せの頂点へ一気に駆け上ります。誰もがうらやむ結婚生活を送る「シンデレラ」となった小春。  ところが、優しかった夫、かわいかった継娘との間に不協和音が生じ始め、あげくに彼女は前代未聞の凶悪事件を引き起こすのでした。  今回映画を観てくれたのは、『バチェラー・ジャパン』シーズン2に参加して、見事バチェラーに選ばれたけれども破局してしまった倉田茉美さん。そして、積極的なアプローチが話題になった野田あず沙さん。2人に、女性の幸せやシンデレラ願望、結婚について語り尽くしてもらいました。

バチェ女はシンデレラ願望の日本代表!?

倉田さんと野田さん

『バチェラー・ジャパン』シーズン2に参加した倉田茉美さん(左)と、野田あず沙さん(右)

野田: タイトルに「しんでれら」とあるから、ふんわりしたおとぎ話っぽい話かなって思ったんだけど、結構ダークな感じでおもしろかった!  倉田: そうそう。 ――ジェットコースターみたいな展開で、幸せの描き方も不幸の描き方もぶっ飛んでるから、ダークなおとぎ話として楽しめるんですよね。 野田: 夫のモラハラ発言とか、子供の邪悪な部分とかは実際にありそうでハラハラしたな。 倉田: あずあずも去年、結婚したけど、主人公の小春みたいに悩むこともあるの? 野田: 喧嘩もするし、大なり小なり私にも悩みはあるよ~。だからといってそういう部分は普段周りには見せないじゃん? だけどこの映画は、そういった普段見せない家庭の側面も描いているのが衝撃的で、目が離せなかったよ。 ――あるあるのリアルさとエンタメ感のバランスが絶妙でした。 倉田: 私はなにかと主人公・小春の気持ちが「わかる」と思いながら見ていたな。小春は子どもの頃に母親に見捨てられた過去があるけど、私も小さいころに両親が離婚をして、父子家庭で育ったり家庭環境が複雑だったし。自分でも気が付かないうちに不幸に慣れちゃってる「不幸体質」なヒロインに、何度も胸が痛くなっちゃった。
倉田さん

「不幸体質」なヒロインの姿に胸が痛くなった

野田: 茉美も『バチェラー2』では、最後に選ばれた「シンデレラ」だもんね。 倉田: でも結局は破局して、シンデレラストーリーではなくなってしまったんだけどね(苦笑)。この映画の主人公もそうだし、『バチェラー』シリーズに出ていた子もみんなシンデレラ願望を持っていたよね。「シンデレラ願望の日本代表」って感じ。 野田: 茉美は、今もシンデレラ願望はある? 倉田: シンデレラ願望というか、結婚という経験はしてみたいと思う。でも「玉の輿に乗りたい」とか「結婚したら幸せになれる」とは思ってないかな。ただ「同じ苦労でも、結婚してからの苦労のほうが幸せかな」とは思っちゃう。だって結婚したら、一人じゃないし、家という「自分が帰る場所」があるのは心強いよね。あずあずは、実際に結婚してみてどう?
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不幸のどん底から一転、誰もが羨む玉の輿婚を叶えた小春だったが……

野田: 私、ずっと婚活をして思ったんだけど、マジメな人ほど結婚するとき、「これまで苦労してきた私も、そろそろ幸せになっていいんだ」って結婚をご褒美みたいに捉える気がして。でもね、私から言わせてもらえば、そもそも結婚はご褒美じゃないし、結婚生活をナメないほうがいい! 倉田: 結婚はスタートだもんね。

『哀愁しんでれら』 公式サイトはこちら>>>

不幸にならないための予防線を張る

――土屋太鳳さんと田中圭さんが、今まで見たことのないキャラを怪演していましたね。 倉田: 田中圭さん演じる夫が、どんどんモラハラ夫になっていくじゃない? でも、妻の小春は仕事をやめちゃってるから、別れられないんだよね。 野田: そう。私は結婚してからも、「不幸にならないための予防線」をめちゃめちゃ張ってるよ。たとえば結婚指輪。 倉田: あれ? してないんだね。 野田: もし離婚したらすぐに売れるように、普段は着けないで家に保管してるんだ(笑)。 倉田: え、マジで。いいところのダイヤの指輪だったもんね~。 野田: そうそう、高かった(笑)。離婚じゃなくても、不慮の事故や病気で死別することだってありえるわけで、どんなときも自分を守れるようにしておきたいと思ってるから。そもそも結婚指輪なんて普段してても「私、結婚してます」アピールにしかならないじゃん。
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結婚指輪は離婚したらすぐに売れるように、普段は着けないで家に保管してる(野田)

倉田: 私、今日、3つも指輪してきちゃったんだけど(笑)。不幸をあらかじめ予測して防御してる人って、逆に不幸を引き寄せてしまいそうなのに、決して不幸にならないのが、あずあずはすごい。 野田: 私がいつも意識しているのは、会社や国の仕組みなんだよね。 倉田: え? どういうこと? 野田: 株式会社って、株を持っている「株主」の意見が強いでしょ。結婚したら、映画の彼みたいに「誰の金で飯を食っているんだ」みたいなモラハラ夫になる男性もいるけど、そんなときに「私だって稼いでるし!」と言えるようにちゃんと仕事をして、「株主」として家庭を営みたい。あと、もうひとつ大事だと思うのが、「三権分立」。 倉田: えっ? 「司法、立法、行政」の三権分立? 野田: そう。家でも同じ。うちの旦那さん、喧嘩しそうになると犬を抱っこして見せてくるんだけど、犬がかわいいから、喧嘩する気も失せちゃう(笑)。 倉田: あずあずと旦那さんと犬。それは三権分立って言うのかわからないけど(笑)、感情を分散させるのは確かに大事だね。私は喧嘩するとムダに口が達者なの。つい相手を言い負かしちゃうから見習わないとな。

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シンデレラ願望は叶ってからが危ういのかも

倉田: あずあずはかなり現実的で戦略的に新婚生活を送ってるんだね。この映画では、主人公は金持ちでイケメンなお医者さんと結婚をしてシンデレラ願望が叶った。けど、その後の生活では、自分が「こうあるべき」と思う家族像をなんとか守り抜こうとして、結局とんでもない事件を引き起こしてしまう。
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幸せだったはずの結婚生活のなかで、小春はだんだん追い詰められていく

野田: 夫の連れ子に対しても、「頑張って良いお母さんにならなきゃ」っていう強迫観念があったよね。 倉田: 愛したい気持ちがあっても、愛し方がわからない。小春も幼い頃に母親に捨てられて、「無条件に愛された」という経験がないまま大人になったんだろうな。そういう人は、自分でも無意識に、条件付きで人を愛してしまったりするんだと思う。「良い母、良い妻でなければ自分は愛されない」みたいな考え方になっちゃうのは、私も少しわかるかも。 ――野田さんは、結婚生活のなかで「完璧にならなきゃ」と思ったりしますか? 野田: 私は旦那さんには「”あの”野田あず沙と結婚できてよかったね!」と本気で思ってるタイプだから、このヒロインの結婚後の自己肯定感の低さは痛々しかったなあ。完璧な妻、完璧な母になれなかったからって、そんなに自分を責めないでいいのに。でも一方で、当の小春本人は、自分のことを「不幸」だとは思っていないんだよね。 倉田: うん。最後の最後まで「幸せになりたい」と思っているし、暴走するラストも、本人はむしろ、夫と通じ合えて幸せだと思い込んでたんじゃないかな。「もっと幸せになりたい」と思うことは誰も責められないけど、シンデレラ願望っていざ叶うと、その幸せを守り抜かなきゃって気持ちになってしまって、怖いものかもしれない。 野田: 小春は自分のしたことを「悪い」とはまったく思っていないもんね。だって、最後に凶悪事件を起こしたときも、とっても幸せそうだったじゃない? 倉田: そうだね。 倉田さん 野田さん野田: もしも小春が自分の友達だったら……と考えたら、あまり強くは責められないかも。もちろん最後の行為は許されないけどね。これ、不倫やホストにハマってる子と同じで、絶対にやめたほうがいいと思うけど、当人が幸せそうだから、暴走してても周囲は何も言えない、みたいな。 倉田: でもみんな、結局は好きな人に愛されたいだけなんだよね。 野田: それにしても「不幸な女性」ってどういうわけか綺麗よね。艶があるというか。物語が進むうちに小春の装いが華やかになっていくのに対して、顔色は悪くなっていくのが印象的だった。 倉田: わかる。その変化がとっても魅力的だったよね。 野田: ラストシーンで土屋太鳳さんが見せる表情が忘れられない。これからこの映画を観る人には、そんな主人公の変化を含めて観てもらいたいよね。
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土屋太鳳演じる小春の、薄幸ゆえの美しさも印象的

—–『哀愁しんでれら』 あらすじ—–  児童相談所で働く小春は、自転車屋を営む実家で父と妹と祖父と4人暮らし。母に捨てられた過去を抱えながらも、幸せでも不幸せでもない平凡な毎日を送っていました。しかしある夜、怒涛の不幸に襲われて―晩ですべてを失ってしまいます。  そんな彼女に手を差し伸べたのが、8歳の娘・ヒカリを男手ひとつで育てる開業医の大悟。出会って間もない彼のプロポーズを受け入れ、不幸のどん底から―気に幸せの頂点へ駆け上がった小春ですが、物語はそこでは終わりませんでした。シンデレラストーリーのその先を描く、禁断の“裏”おとぎ話サスペンス! 出演/土屋太鳳、田中圭、COCO、山田杏奈、石橋凌ほか 脚本・監督/渡部亮平 配給/クロックワークス 2月5日(金)全国公開

『哀愁しんでれら』 公式サイトはこちら>>>

<取材・文/アケミン 撮影/山川修一 提供/クロックワークス ©2021「哀愁しんでれら」製作委員会>
アケミン
週刊SPA!をはじめエンタメからビジネスまで執筆。Twitter :@AkeMin_desu
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