さて、こんなことを言うと音楽通には白い目で見られるかもしれませんが、藤井さんはルックスも抜群にいいんです。事実だから仕方ありません。30歳以上の大人の女性たちも虜にするだろう色気は、歌声からも伝わりますが、実際に映像を観てさらにノックアウトされた人も多いです。
MVも当然、見映えばっちりで、初めて訪れたというNYで撮影された『何なんw』も、NYの地下鉄、街への溶け込みぶりが尋常じゃありません。『へでもねーよ』のMVのオープニングでは、子連れ狼よろしく、子どもを抱っこしながら浪人風の姿を披露。俳優でも通用するに違いない空気を放っています。
また、藤井さんは、昨年の自粛期間中に弾き語り生配信を行い、
気分が落ち込み気味な人にナチュラルな優しさで寄り添いました。さらに、その後配信された、特に美しいメロディに死生観を反映させた『帰ろう』は、老若男女を問わず、多くの人々の心に届いて、評判を呼んでいます。
今年1月には、音楽バラエティ番組『関ジャム 完全燃SHOW』の恒例人気企画「
売れっ子プロデューサーが選ぶ2020・年間ベスト10」で紹介された藤井さん。
これまでに
米津玄師さんやあいみょん、Official髭男dism、King Gnuらを、いち早く紹介してきた本企画。今回は、蔦谷好位置さんが5位に『優しさ』を、いしわたり淳治さんが2位に『何なんw』、川谷絵音さんが1位に、言葉のリズムの心地よさと、どこか懐かしいサウンドと、毛色の異なるバックサウンドの取り合わせが刺激的に響く『罪の香り』を選出。選者3人のTOP10で唯一かぶったアーティストが、藤井さんでした。川谷さんは「
声良し曲良し歌詞良し、非の打ち所がない才人。断トツの1位でしたね。来年も藤井くんが1位になるんじゃないかと思っています」と絶賛しました。
昨年10月にはやけにカッコイイ方言バリバリ楽曲『へでもねーよ』と、標準語で限りなく美しく爽やかに染みる『青春病』の二曲を同時配信リリース。
幼い頃から親しんだジャズが影響しているであろうコード進行に、英語が堪能な人ならではの音の乗せ方と、自分自身の感覚を生かした言葉の使い方にアイデンティティを感じさせる藤井さん。文語的な表現と、口語的な表現を入り混じらせ、新しい刺激をくれます。また初のタイアップ曲となった『旅路』は、穏やかな中に、どこか哀愁を感じさせる世界観となっており、きっと後々発表されるだろうMVも楽しみです。
「ついてこられる奴だけでいいよ」という姿勢ではなく、一般に響く要素を多分に兼ねながら、独自の色を添えて突き進む藤井風さん。今からでも間に合います。要チェックです。
<文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi