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菅野美穂「ウチカレ」絶妙な古さのワケ。”恋愛の女王”の脚本に期待すること

脚本は「ロンバケ」で有名な北川悦吏子

 リアルさを出そうとすることで、違和感を持たれる結果になってしまっている状態。いうなれば、若者たちの中に入ろうと、かじっただけの知識で割り込んだ上の世代の人の話がとんちんかんで痛々しいようなイメージです。その上、ネガティブな印象で扱われる固有名詞(『ユニシロ』など)は、もじっているという統一感のなさ。視聴者がツッコミたくなるのも無理はないでしょう。  この作品の脚本を担当するのは、かつて『ロングバケーション』(フジテレビ系)や『オレンジデイズ』『愛していると言ってくれ』(ともにTBS系)などでヒットを飛ばした北川悦吏子(きたがわ・えりこ)氏。
DVD『素直になれなくて』1巻(脚本・北川悦吏子)

DVD『素直になれなくて』1巻(脚本・北川悦吏子)

 ただ、北川さんの作品は“恋愛の神様”と言われるだけあって、いつまでも心に残る名作もたくさん生み出しています。テンポが良くコミカルな中にキラキラとしたロマンスやキャッチコピーのような美しいセリフ。かつてドラマファンは、彼女による女性の正直な気持ちを掬い取るような心理描写に共感し、ロマンチックな展開に夢中になっていました。

絶賛する声も。正統派ラブストーリーは永遠のもの

 厳しい意見も多い「ウチカレ」ですが、女性たちからは共感の声も多いのです。菅野美穂さん演じる、内面は少女のまま年齢と経験だけを重ねた大人になれないオワコン小説家の姿は、年齢を重ねた女性が自らと重ねて身につまされるという同世代の女性の意見も。時代に取り残されていく切なさ、そしていくつになっても無邪気にドキドキする乙女の心理は、時代が変わっても普遍的なものでしょう。
DVD『たったひとつの恋』Vol.1

DVD『たったひとつの恋』Vol.1

 06年の名作ドラマ『たったひとつの恋』(北川さん脚本)がTVerで先日公開されましたが、一時はTVer内ランキングで人気ドラマやアニメと並んでなんと5位に。北川さん本人も「15年も前のドラマが。ウチカレ抜かれる笑」とツイートしていました。このことから、北川さんのラブストーリーは時代が変わっても多くの人の心をつかみ、その輝きは永遠に不滅だということがわかります。  だからこそ付け焼刃の固有名詞や小ネタに逃げるよりも、北川さんの描く等身大の正統派のラブストーリーをもう一度見たいと、いちドラマファンとして思ってしまうのです。   <文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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