親を介護するためにもっとも必要なものは何でしょうか。「介護するための時間」VS「情報」だったら断然「情報」。一見して「時間」が最優先でしょう、と思いがちですが、「そもそも限定された時間しかない」のです。1日24時間、現在の生活だけでいっぱいいっぱいじゃないですか。無理は禁物なのです。
筆者の太田差恵子さん「
介護は情報戦」だと言います。自分の生活と親の介護を両立するためには「情報」の入手は必須です。
「行政の介護の相談窓口(プロが常在する相談窓口。相談料は無料)」「介護サービス」「職場の介護支援策(「介護休業」は法律で定められている)」等々、頼れる機関や制度はたくさんあります。現在介護に携わっている人に体験談を聞いてもいいですよね。
金銭の話題は親子間でもつい遠慮してしまいます。知りたいけれど、詮索すると怒られそう。しかし、介護がはじまったら先立つものはお金。ここは「概ね把握している」人が、自分の人生を大事にできる人です。
親の介護は金銭を含めて子が担うという心構えはあっぱれですが、本書では「
親の介護にかかる費用は、原則、親のお金を充てるのが筋」という主義。もちろん、親の年金・貯金が足りなければ子供に負担するしかないこともありますが、できる限り親のお金を充てる前提にしないと、経済的に共倒れしてしまいます。親が元気なうちに将来的な状況を鑑みて、家族で対策を練るのも大切ではないでしょうか。
愛情ゆえに親を介護したいと思っても、行き過ぎた努力は危険。本書には、介護で自滅しなように、臨機応変に挑む知恵がたくさん詰まっています。
いざ親の介護がはじまっても慌てないように、一読してみてはいかがでしょうか。
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小説家・森美樹のブックレビュー―
<文/森美樹>