――現在の池松さんについても伺いたいのですが、仕事に邁進されている印象ですけれど、30歳を過ぎ、私生活にも意識は向くようになりましたか?

『アジアの天使』より
池松「性格上、精神で乗り越えようとしてきた部分が大きかったのですが、前より休むことについて、考えるようになりましたね。みなさんそうだと思いますが、人間の生活自体が見直されていますし、これまで体と心のバランスが崩れていたんだなと身に沁みて考えるようになりました。
昔よりちゃんと寝てますし、ちゃんと夜と朝を意識するようになりました。
何もしないとか、暇を持て余すということがすごく苦手なんですけど、なるべく何もしない時間を過ごすようになりました。今、この世界の混乱と歪みの原因は、やっぱりバランスが崩れているということだと思うんです。バランスというのは非常に厄介で、常に動いている世界のバランスを保つにはバランスについて気を配っておく必要があります。この映画も、損失を抱えて、バランスを失った人たちの物語です。とにかくそのバランスを見つめなおすことを、今なるべくやるように意識しています」
(C) 2021 The Asian Angel Film Partners
<取材・文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi