Human

和式トイレで立ち上がれず大ピンチに!88歳女性が教えてくれた「“老い”付き合い」

老後は金持ちより人持ち

老後は金持ちより人持ち「おひとりさま」という言葉が定着して久しいですが、老後はこちらが意識しなくても「おひとりさま」になってしまうもの。本書に登場する男性は、「妻の死後に3つの保険に入った」と言います。  保険といっても金融商品ではなく、人間関係の保険です。分譲マンションに住んでいた男性は、「自治会の役員を引き受け、市民講座運営委員会の委員になり、カラオケサークルに入った」そうです。これらすべてに人との交流がありますよね。  老後は自ら進んで「おひとりさま」であることを公表し、「おひとりさま」の危機を救ってくれる人間関係を構築するのがベスト。何かあっても誰かが発見してくれる、という安心感は心身の健康にもつながると思うのです。

ユーモアよ、永遠に

 高齢と呼ぶにはまだ早い50歳の私ですが、それでも体の衰えを実感するたびに凹みます。とはいえ、この凹みが年々増えていくのは目に見えているのです。シミやシワも増えていくし、とため息をついていたら、同じ美容院に通う70代の女性が「美容整形にハマっている」という話を聞きました。なんでも「この年齢になったら、今さらどういう顔になっても驚かないし、むしろ変化が楽しい」と笑うのです。 老いの福袋 本書にも「いやなこと、つらい出来事もちょっと俯瞰して眺めて笑いに変えてしまうと、けっこう気分が変わるもの」とユーモア精神を推奨しています。あの美輪明宏さんにしても「世界を変える言葉は『ルンルン』」と提案。「今朝は肩が痛いわルンルン」とか「トイレで立てなくなったわルンルン」とか、ヤレヤレな事実をユーモアで締めくくると、新たな活力が生まれてくるのです。 「忙しさと笑いがあれば、たいていのことは乗り越えられる」 無視できない「老い」と「高齢社会」の現実を、知恵とユーモアで切り込む本書。10年後、20年後を見据えた必読書と言えそうです。 ―小説家・森美樹のブックレビュー― <文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ