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『ドクターX』はコロナ禍の今こそ観て!全6シリーズ5回転した女性が熱弁

岸部一徳、内田有紀、遠藤憲一、名優たちの人間味ある演技

 大門未知子をとりまく人間模様も『ドクターX』の人気を支える要因のひとつです。  彼女が所属する「神原名医紹介所」の所長・神原晶(岸部一徳)は、元医者であり、大門未知子の師匠。手術のたびに高級メロンと請求書をもってあらわれ、法外な金額をゲットしスキップしながら帰っていく。医学会の各方面にパイプをもち、天才的な腕をもつ愛弟子が大学病院や権力者たちに利用されないように裏でも暗躍します。  同僚のフリーランス麻酔科医・城之内博美(内田有紀)は、ひとり娘を育てるシングルマザー。大門未知子のオペ技術についていく一流の腕をもち、何でも言い合える唯一の友人でもあります。  医者として同じ信念をもつ凄腕たちの絆にはときに涙がこぼれる展開も。仲間内で銭湯に行ったり、麻雀・卓球を嗜んだりするシーンも名物です!
 そのほか、大学病院の医局に所属する医師たちもいい味を出しています。大門未知子からいつも「顔怖いよ」といわれる、上に弱く下に強い海老名敬(遠藤憲一)は、直属の上司である病院長・蛭間重勝(西田敏行)に頭が上がらないコバンザメタイプ。大門未知子を「デーモン」とあだ名で呼び、出世や肩書よりもお金が大好きなのが、“腹腔鏡の魔術師” 加地秀樹(勝村政信)。そして、患者に寄り添うことをモットーとするも気が弱く、第1シーズンから登場するのに大門未知子に名前を覚えてもらえない原守(鈴木浩介)は今シーズンも健在!  彼らは大学病院のなかで、常に「御意(ぎょい)」(ドラマでよく登場する人気フレーズでもあります)を強要され院内政治に巻き込まれているからこそ、大門未知子の「失敗しないので」を秘かに尊敬し、彼女の「いたしません」を羨ましく思っているのです。外科医としての理想の在り方と権力抗争の狭間で、ときに苦悩し、ときに開き直し、ときに立ち向かおうとする姿は、実に人間らしくてつい共感してしまいます。

悪役すら愛おしくなってくる! 大ボスを演じる大御所たち

『ドクターX』で毎回注目されるのが、権力者として大門未知子を利用したり、つぶそうとしたりする “大ボス”。これまで毒島隆之介(伊東四朗)や、天堂義人(北大路欣也)、黒須貫太郎(ビートたけし)、内神田景信(草刈正雄)に、ニコラス丹下(市村正親)など数々の大御所たちが演じてきました。
 今シーズンが始まるにあたり、ここで絶対に紹介しておきたいのが、第2シーズン以降毎回登場する“永遠の大ボス”蛭間重勝(西田敏行)です。表向きは温厚ですが、とにかく権力が大好きで女癖も悪い蛭間。欲と野望にまみれ、権力抗争ではかなり腹黒く、患者の命を利用するような冷徹な面すら見せる男です。病院長として登場することが多いのですが、解雇されたり逮捕されたりすることも(!!)。それでも裏工作で不死鳥のごとく大門未知子の前に舞い戻ってくる蛭間は、演じている西田敏行の人間性がにじみ出るからなのか……私利私欲にまみれているのに、なぜか憎めない……どうしても憎めないキャラクターです。自分の欲に忠実で、諦めずに手段を選ばず突き進んでいく姿に一種の羨ましさを感じてしまうのかもしれません。  さて今シーズンの大ボス、内科部長・蜂須賀隆太郎を演じるのは、狂言師であり、民放連続ドラマ初出演をはたす野村萬斎です。未曽有のパンデミックに直面する「東帝大学病院」で発言力を増した内科部長。院長代理として「薬治療」と「ケミカルサージェリー」を軸とした内科主導の組織にしようともくろみ、大門未知子の手術力を、内科の実験的先進医療の道具として利用しようとします。完璧主義者がゆえに、100%のオペができない自分が許せなくて内科医に転身した蜂須賀に「失敗しない」オペをする大門未知子がどう対峙するのか、どう展開していくのか。大きな見どころになるでしょう。
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第7シリーズ、第1話の注目ポイントは?
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