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泣ける…「時給はいつも最低賃金」な50代女性ライターが見た現実/和田靜香×松尾潔

政治の素人が著した異色の政治本に多くの共感が寄せられ、好セールスを記録している。総選挙直前、政治に大きな関心が集まるなか、著者・和田靜香氏と著書に共鳴した音楽プロデューサー・松尾潔氏が急遽、対談を行った。

公助に後ろ向きな日本では到底暮らしていけない……

時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?

和田靜香氏(左)・松尾潔氏

時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』(左右社)が、“政治本”としては異例のベストセラーとなっている。著者の和田靜香氏は50代単身、フリーランスの音楽・相撲ライター。かつては多くの音楽誌に寄稿し、週刊SPA!でも連載を持つなど業界の第一線で活躍していたが、近年は原稿の仕事は減る一方。  生活を維持するためのおにぎり屋のバイト(時給は最低賃金)は、コロナ禍でクビになった。「私の不安は日本の不安」と考えた彼女は、小川淳也衆院議員(立憲民主党)のもとを訪れ、失業、高齢化、社会保障、そして“失われた30年”でまったく伸びない賃金……日本が抱える多くの問題に、無垢だが、本質を突いた疑問をぶつける。  そんな激しくも温かい対話を収めた本書は、政治問答書なのに「泣ける」と評判だ。日本を代表する音楽プロデューサーの松尾潔氏もそんな一人だという。「ヒット請負人」の異名を持つ彼は、若き日に気鋭の音楽ライターとして活躍。奇しくも過去に週刊SPA!で健筆を振るっていた二人は、現在の日本に強い問題意識を抱く。対談で浮かび上がったこの国の問題点とは?

政治問答書なのに「泣ける」理由とは?

和田:なぜ「泣ける」のか、初めはわからなかったけれど、「この本を読んで自分はこんなに不安だったんだって気づいたら、ワーワー泣いた」という読者のツイートで腑に落ちました。自分が不安だということを自覚する余裕さえない人が、この本を読んで「同じだ!」と気づくんですね。 お金がなく生活も苦しい私は、嫉妬から他人様の家のきれいな花壇を踏みつけそうになったと書きました。追い込まれている人は、自分は一人ぼっちだって感じて、乱暴な気持ちになってしまう……。今は、多くの人がそんな心境なのでしょう。 松尾:花壇の話には僕も涙しました。政治についての本は小難しくて敬遠されがちですが、和田さんの本は平易な文章で、市井の人々の小さな声から、メディアで「可愛い本」と推薦した小泉今日子さんのような大きな声まで、共感が集まった。小泉さんとは’90年代にお仕事したことがありますが、当時は政治の話なんて全然しなかったなあ。
時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?

もらい泣きしたという松尾氏のツイート。政治や社会問題をSNSで積極的に発信する彼は、政治をタブー視する日本の音楽業界では稀有な存在だ

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今の日本では、夢を見ることさえできない
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