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結婚にラブって必要?「結婚したい」は本当に自分の欲望ですか|吉川トリコさんインタビュー

 結婚、出産、不妊治療の話題から、推し活やダイエットまで、本音炸裂のエッセイ本『おんなのじかん』(新潮社刊)が話題の著者、吉川トリコさんへのインタビュー。
吉川トリコ『おんなのじかん』(新潮社刊)

吉川トリコ『おんなのじかん』(新潮社刊)

 第2弾は、不妊治療や子を持つということについて、結婚について、さらに深く聞いていきます。

不妊治療の話は「触れてはいけないこと」なのか

――本書でも語られていましたが、不妊治療ってお金・時間・心身ともに負担が大きいにもかかわらず、人に話しづらい空気がありますよね。だから人に相談しづらく愚痴も言いにくく、カップルだけで抱え込んでしまうことも。これってなぜなんでしょう。 吉川トリコさん(以下、吉川)「ひとつ、偏見があるから言いにくいというのは、根底にあるのかもしれないですね。不妊治療自体の、“自然なことじゃない”みたいな感覚は、私たちの世代だと希薄じゃないですか。でも上の世代の方など、一部の方々の中にはまだまだそういう価値観がある……というのは関係していると思います。  もうひとつ、私の場合は『お金をかけてまでなぜ不妊治療を?』ということに対しての説明を求められる感じがあって。『そこまでして子ども欲がるってなんで? 養子じゃダメなの?』とか、『あ、そんなに血縁にこだわるんだ』みたいなのに対する説明をしなきゃいけないんじゃないかと、勝手に気負っていた部分があるんです。それで、なかなか言いづらかったという気がしますね」

不妊治療の助成や保険適用「43歳未満まで」ってどう思う?

不妊治療 病院 カウンセリング

写真はイメージです(以下同じ)

――現在、一部の不妊治療を新たに健康保険の対象とする議論がされていますね。現行の費用助成制度と同じく「妻の年齢が43歳未満」という年齢の制限があります。この「43歳」という年齢について、吉川さんはどう思われますか? 吉川「個人的にはもうちょい……あと2歳くらい上乗せしてくれてもいいんじゃないかとも思います。不妊治療が健康保険の対象になるのは喜ばしいことですが、年齢で区切られてしまうというのは、切り捨てるってことじゃないですか……多分。理解はできるけれど、理解できるからと言って納得はしねぇ、みたいな気持ちですね」 ――本書の「はじめに」では、まさに43歳だった当時の吉川さんの気持ちについて「四十歳なら迷わず不妊治療を続けていただろうし、四十五歳ならきっぱり諦められるだろうに、という年齢」と書かれていました。 吉川「43歳というのは、そういう絶妙な年齢であることは確かです」
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「結婚したい」は本当に自分の欲望なのか?
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