
男性被害者に対する世間の無理解は、事態を悪化させる。藤木健太さん(仮名・30代)は、新卒で入った会社で20歳ほど年上の同僚女性につきまとわれた。
「最初は挨拶や雑談する程度でしたが、プレゼントだといってCDや、バレンタインデーに高級チョコを渡されるようになったので距離を置くようになりました」
するとある日、エレベーターに乗ろうとした藤木さんを女性が追ってきて、涙ながらに「前みたいに楽しくお話ししたいの!」と叫んだ。恐怖を感じた藤木さんは、その後、転職したが……。
「家の近くのコンビニで何度も出くわすようになったんです。以前の職場に確認したら、女性の自宅はまったく別のエリアでした」
女性は軽自動車に乗って藤木さんの自宅前を周回したり、外出先で遠巻きに監視を続けた。
「週に2~3回は現れました」
会社の先輩を通じて加害者に確認すると「アイドルのつもりで追っかけしていた」とストーカー行為を認めた。それでいったんは収まったものの、女性は数週間後に退社。行為が再燃した。
「周囲に相談しても『モテていいね』『いっそ付き合っちゃいなよ』『ヤリ捨てしたんじゃないの?』などとからかわれるだけでした」
警察への相談も考えたが、すぐに動いてもらえない懸念があった。
「そこで車を買い替えたり行動パターンを大きく変えるなどしていたら、ようやく収まりました」