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女性がストーカーになる時。被害男性たちの声「人生を狂わされた」

2020年に警察が把握したストーカー相談件数は約2万件。多くは女性が被害者だが、男性の相談数が2500件に及ぶなど、女性ストーカーからの被害を訴える男性も少なくない。     あまりニュースにならない、男性被害者たちの声を聞いた。

女性ストーカーが向ける、愛情という名の加害

「この記事がね、僕の人生を狂わせたんですよ」  そう言って口元を歪める元京都府議・谷川俊規さん(60歳)の視線の先にあるのは、’18年6月に発売された週刊誌の記事だ。タイトルは「呆れた『京都府議』に費やされる税金――愛人鉢合わせ事件に公費流用!」。
ストーカー

元京都府議・谷川俊規さん(60歳)。裁判には勝訴したが、ネット上には谷川さんにとって不名誉な記事が残り、就職活動にも支障をきたしたという

 事の始まりは、妻の反対を押し切って府議選出馬を決めた2015年にまで遡る。「地盤・看板・カバン」を持たない谷川さんは、日本維新の会の公認は得られたものの、限られた支援者と事務所スタッフを募り初めての選挙戦に臨むことになった。  だが、谷川さんへの歪(いびつ)な感情を抱えた女性スタッフ2人の確執から、事態は思わぬ方向に暴走し始める……。

シャワーを浴びていると、突然「ドンドンドン!」

 谷川さんがスタッフの一人、山内凛子さん(仮名・当時40代)と連れ立って地元の農家に挨拶回りをした日のことだ。農作業を手伝い汗をかいた谷川さんは、シャワーを浴びるため自宅兼事務所のアパートに立ち寄ることに。同行していた山内さんには、部屋の一角でポスターの整理を頼んでいた。 「スタッフも頻繁に出入りしていたので、あのときも事務所と同じ感覚で2人で部屋に入ってしまったのです」(谷川さん)  シャワーを浴びていると、突然「ドンドンドン!」と激しく玄関をノックする音が……。慌てて出ると、のぞき穴の向こうに別の女性スタッフ・木村美香さん(仮名・当時40代)の姿があった。  山内さんと木村さんは意見が合わず、前日も山内さんと大ゲンカをしたばかり。2人はどちらがより有能であるか、常に競い合うように衝突を繰り返していたという。いわば“オンナ同士の意地の張り合い”であった。驚いてドアを開けると、木村さんは室内に押し入り、大声で言い放った。 「今日は私とエッチする日だったんと違うかあ?」  訳がわからず呆然としている半裸の谷川さんを、木村さんは携帯電話で撮影し、立ち去った。
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「あの2人は不倫している」
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