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いま、松田聖子の忘れられた大名曲を想う。まるで鎮魂歌のよう

 12月18日、女優・歌手の神田沙也加さんが亡くなりました。ミュージカル『マイ・フェア・レディ』で主演を務める最中、宿泊中の札幌のホテルから転落死……あまりに衝撃的でした。

松田聖子の紅白曲目も発表延期に

 両親である神田正輝、松田聖子の悲しみは計り知れません。特に、松田聖子は「現実を受け止めることが出来ない状態」(松田聖子の所属事務所のコメント)とのことで、19日夜に都内で行われる予定だったディナーショーをキャンセル。それ以降のスケジュールも白紙状態になっています。  紅白歌合戦への影響も心配なところです。当初20日に予定されていた曲目の発表も延期されました。これは松田聖子が出場可能かどうかの判断待ちが理由だそう。本番当日までの時間を考えると、厳しい状況なのかもしれません。

松田聖子の大名曲「哀しみのボート」

 そんな折、不謹慎ながら、松田聖子の知る人ぞ知る大名曲のことを思い出してしまいました。1999年10月にリリースされた「哀しみのボート」(作詞・松本隆、作曲・大久保薫、編曲・岡本更輝=萩田光雄の別名)という曲です。
永遠の少女

「哀しみのボート」はアルバム『永遠の少女』(1999)収録

「風立ちぬ」(1980年)や「赤いスイートピー」(1982)などの数々の大ヒットでタッグを組んできた松本隆が11年ぶり(1999年当時)に歌詞を提供。ドラマ『OUT ~妻たちの犯罪~』(フジテレビ 1999年10~12月放送)の挿入歌に起用されたものの、オリコンチャートは最高27位どまり。彼女にとっては地味な作品と言えるでしょう。  それでも、当時二十歳そこそこだった筆者は、この曲のただならぬ気配のとりこになってしまったのです。アコースティックギターを基調とした静かなバラードなのだけど、そこに甘い響きはありません。 <哀しみのボートで 涙に漕ぎ出そう   哀しみのボートで 流されても運命ならいいの>  この痛ましい歌詞を肉感的に歌う姿からは、かつてアイドルだった“聖子ちゃん”の影は消え去っていました。消え入りそうな裏声と、<涙に漕ぎ出そう>のマイナーコードに吸い込まれていく儚(はかな)いメロディ。ストリングスは、終始すすり泣くように異なる旋律を重ねていく。  曲を構成するあらゆる要素に漂う静謐と厳しさ。その中でこそ、美しさが研ぎ澄まされていくのですね。見てはいけないものに宿ってしまう妖艶なオーラが、「哀しみのボート」にはあったのです。
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松本隆との対談で涙を流した松田聖子
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