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いま、松田聖子の忘れられた大名曲を想う。まるで鎮魂歌のよう

松本隆との対談で「どうしてこんなにわかるの」

 当時、あるテレビ番組で松本隆と対談した際、松田聖子が涙を流しながら“どうしてこんなにわかるの”と話していたことがありました。  いま改めて聴くと、それが彼女の心の内だけではなく、松田聖子という歌手の資質そのものを“わかっている”という意味だったのだと思い知らされます。  そして、優れた作家は、ときに予言者にもなり得る。下衆な書き方を承知で言えば、鎮魂歌となる運命を約束されていたようにさえ聞こえるから不思議なものです。

息子の転落死と、音楽史に残る名曲

 また、イギリスのギタリスト、エリック・クラプトンのことも思い出しました。クラプトンも、松田聖子と同様の悲劇に見舞われた経験があるのです。1991年、当時4歳だった息子のコナーが高層ビルの53階の窓から転落死。クラプトンは自宅に引きこもり、テトリスばかりする毎日を送っていたのです。
Clapton Chronicles: The Best of Eric Clapton

『Clapton Chronicles: The Best of Eric Clapton』

 そんな鬱々とした日々を乗り越え、久々にギターを手にしたクラプトンが書き上げたのが、息子に捧げる「Tears In Heaven」。グラミー賞を獲得し、世界的な大ヒットとなりました。歌うのが辛いという理由で、一時はライブでの演奏を封印したものの、いまではセットリストからは欠かせない一曲になっています。
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いつかまた歌ってほしい
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