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『カメ止め』上田慎一郎監督、大ヒット後のスランプを明かす「自分を見失った」

「カメ止め」のあと脚本が書けなくなった

――監督は『カメラを止めるな!』の大成功で知られていますが、その後も「成功も失敗もあった」、さらに「自分を見失う期間があった」とコメントされています。成功は分かりますが、失敗とか、見失うとは。
「カメ止め」のあと脚本が書けなくなった

『ポプラン』より

上田監督「以前でいうと、借金まみれになってホームレスをしていたことがあるので(代々木公園で寝袋で寝ていたそう)、そうしたたくさんの失敗もしていますし、『カメ止め』以降で言えば、自分としては自信を持って作ったけれど、興行的にはそれほど行かなかったとか。あとは自分を見失ったというのは、やはり『カメ止め』以降ですね」 ――成功したゆえの? 上田監督「そうですね。自分が誰なのか分からなくなったというか、色んな期待やプレッシャーを背負ってしまい、『こういうものを作って欲しい』『いや、こういうものを作って欲しい』『こうすべきだ』『ああすべきだ』というのを浴びすぎて、あれ、自分はどう思ってたんだっけ?と分からなくなってしまったんです」 ――考えられない状態に。 上田監督「こうすべきなのかな、ああすべきなのかな。でもそれって全部誰かが言った言葉で、実際に俺はどう思っているのかというのが埋もれてしまって。スランプになって、まったく脚本が書けなくなったんです」

妻と幼なじみに気持ちを吐き出した

妻と幼なじみに気持ちを吐き出した

『ポプラン』より

――どうやって脱したんですか? 上田監督「僕の場合は、仲間に弱音を吐くことで乗り越えました。社会的にはシンデレラストーリーかもしれないけれど、もう全然今の自分はダメでスランプなんだと。そうしたことを主にふたりに、僕と同じく監督をしている妻(ふくだみゆき)と、幼なじみでもある会社の社長に聞いてもらいました。『しんどい。書けない』と」 ――吐けただけで救われた? 上田監督「だと思います。悩みを相談とかするときって、答えを欲しいというより、換気みたいなものだと思うんです。重いものを吐き出せたことで新しい空気が入ってきた。だから何かはっきりしたきっかけがあって立ち直ったというより、そうやって空気を入れ替えて徐々に立ち直っていった感じです。それに今だっていろんな葛藤を抱えながら走っていますしね」
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同じ映画監督である妻との関係は?
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