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磯村勇斗が語る「みんなが孤独になっている今、できること」

 昨年公開された映画だけを振り返っても『ヤクザと家族 The Family』『東京リベンジャーズ』『劇場版 きのう何食べた?』『彼女が好きなものは』と、作品ごとに全く違った人物として生き、観る者を物語に引き込む俳優・磯村勇斗さん(29)。
磯村勇斗、「映画が社会に侵食されたら終わり。もっと自由でなきゃいけない」

磯村勇斗さん

 そんな磯村さんの、今年最初の映画となる『前科者』が公開になりました。罪を犯した“前科者”たちの更生や社会復帰を手助けする保護司の女性・阿川を有村架純さんが、同僚を殺害した過去のある“前科者”である工藤を森田剛さんが演じる本作で、磯村さんは、新たに発生した連続殺人事件を追う刑事・滝本を演じています。  人が人に寄り添う姿を、映画として伝える本作。排他的で不寛容なムードの広がる世の中で、映画ができることとは……。「映画が社会に侵食されたら終わり」と語る磯村さんに話を聞きました。

滝本の生きざまを大切にしたかった

――有村さんとは『ひよっこ』以来ですね。そこで培われた信頼関係は生きましたか?
滝本の生きざまを大切にしたかった

『前科者』より

磯村勇斗さん(以下、磯村)「すごく大きかったと思います。安心してお芝居ができましたし、お互いのことも分かっているのですごくやりやすかったです。朝ドラのときからずっと、お芝居に対してもすごく熱心な方で、ユーモアもあって。人としても女優さんとしても素敵な方で、変わらずにいてくれたのですごく安心しました」 ――磯村さんが演じた滝本は刑事ですが、ひとりの青年としての面も描かれます。 磯村「滝本は過去にあることを経験したことから、刑事になっています。事件による被害者も加害者も生まないようにとやってきた。でも心の奥にずっとひっかかりがあるんです。そのバックボーンを大切にしました。今回発生した連続殺人事件の犯人に対しての怒りを押し殺しつつ、それでも事件を追っていく姿に彼の生きざまを感じたので、そこはすごく大切にしたいと思いました」

リハーサルなしの一発本番

リハーサルなしの一発本番

『前科者』より

――岸善幸監督(『二重生活』『あゝ、荒野』)の現場はいかがでしたか? 磯村「岸監督はすごく俳優を信頼してくれる方で、まずは俳優自身が持ってきたものでやってみて、そこから調整していくような演出でした。すごく寄り添ってくださる監督です。あとリハーサルがありませんでした」 ――リハーサルがない? 磯村「動きの段取りはなんとなくやりますが、準備したらもう本番でカメラを回していきます。その1発に出てくるものが面白いとおっしゃっていました。もちろんもう1回となるときもありましたが、基本はリハーサルなしの本番1回でしたね」
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社会に歯向かって乗り切っていくべき
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