映画が友達になれたら、救われる子がいるんじゃないか
――監督の作品からも感じることなのですが、人生には友達の存在も大きいですね。監督自身、高校時代のお友達に救われたとか。

『フタリノセカイ』より
飯塚監督「高校時代の友人には本当に支えてもらいました。彼らがいたことで、人生が大きく変わったと思います。中学時代はいじめに遭ったり、誰にも、親にも言えなくて悶々としている時期がありました。高校では友人に受け入れてもらえたので、僕はどちらも経験しているんです。
その経験からも、映画が友達になれればいいなと思っています。孤独に生きているセクシャルマイノリティであっても、映画の中の誰かが自分に語り掛けてくれたり、励ましてくれたり、支えてくれているように感じられたら、救われる子がいるんじゃないかと」

『フタリノセカイ』より
――それはすごく大きいですね。現実世界で誰もに友達がいるわけではないですし。
飯塚監督「映画にそんな存在になって欲しいですし、映画から未来への希望を感じてもらいたいです。今回、不妊治療のことも出てきます。セクシャルマイノリティに限らず、子どもを授かれないことに対してナーバスになっている女性や、子どもはいたほうがいいよという同調圧力に苦しい思いをしている方々にも、
幸せの形はひとつではないし、幸せになるにはいろいろな方法があるよと、本作が肩の荷を下ろすきっかけになってくれれば嬉しいと思っています」
(C) 2021 フタリノセカイ製作委員会
<撮影・文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi