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トランスジェンダーの監督が語る現実「差別的なことを言われたし、今でもそう」

トランスジェンダー役はトランスジェンダーが演じるべき?

――本作ではFTM(Female to Male)の真也を坂東龍汰さんが演じています。トランスジェンダー役はトランスジェンダーが演じるべきとの論調もありますが、監督はどう考えますか?
トランスジェンダー役はトランスジェンダーが演じるべき?

『フタリノセカイ』より

飯塚監督「確かに当事者が演じられるに越したことはないとは思います。役作りという意味でもそうですし、ハリウッドの論争でいえば、マジョリティの作品と比べてセクシャルマイノリティの映画があまりないなかで、そうした俳優にも平等に機会を与えましょうというのもよく分かります。  ただ日本の場合は、もっと手前の段階だと思っています。僕自身、映画業界で働き始めたとき、ものすごい男性社会、言ってしまえば古い価値観を持った人がたくさんいる社会で、カミングアウトして安心して活動できたかというと、最初はできませんでした」

日本には安心安全に活躍できる土壌がない

日本には安心安全に活躍できる土壌がない

『フタリノセカイ』より

――というと? 飯塚監督「この業界に入った10年くらい前、僕は治療をしていなかったので、いわゆる中性的な見た目をしていたんです。そうすると、『どっちですか?』みたいなことを聞くんですよ。みんなが。リスペクトがあったうえでセクシャルティを聞かれるのはいいのですが、『お前、どっち? 男女だな』みたいな偏見が入った状態でまず聞かれる。口にしたくないような差別的なことも日常的に言われましたし、いまだにあります。  僕の仲間に、録音部になったトランスジェンダーの子がいたのですが、セクシャリティのことが原因でいじめられました。俳優さんにしても、大勢のいるオーディションの場で、製作者の方から『君の体、今どうなってるの?』と聞かれたりするんです。つまり、日本にはセクシャルマイノリティの役者が安心安全に活躍できる土壌がない」
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幸せになるというロールモデルを作っていきたい
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