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神尾楓珠の“圧倒的な美しさ”にうっとり…『親密な他人』や過去BL作品にみる魅力

 神尾楓珠の主演映画『親密な他人』が2022年3月5日(土)から渋谷ユーロスペースで公開されている。
『親密な他人』より© 2021 シグロ/Omphalos Pictures

『親密な他人』より© 2021 シグロ/Omphalos Pictures

 話題のドラマや映画作品への出演を重ね、ネクストブレイク俳優の呼び声からいよいよ若手を代表するひとりとなった神尾。実力派女優・黒沢あすかとの共演作である本作では、孤高の演技スタイルを体現している。  今回は、「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、ネクストブレイク時代の過去作を振り返りながら、神尾の“圧倒的な美しさ”について解説する。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます

陰も陽も両方演じられる若手俳優

CMシリーズ『Splash ボートレーサーになりたい!』※株式会社ルーティングシステムズのプレスリリースより

CMシリーズ『Splash ボートレーサーになりたい!』※株式会社ルーティングシステムズのプレスリリースより

「最近のCMは物語性があって面白いな」と思ったのは、BOAT RACE振興会のCM「Splash ボートレーサーになりたい!」(2021年)でプロボートレーサー養成員のカミオ(神尾楓珠)が、入所前に髪を丸坊主にし、決意を固める青春の一コマがとても瑞々しく描かれていたからだ。  2020年には女性ファッション誌『ViVi』の「NEXT国宝級イケメンランキング」で1位にも選ばれ、活躍が期待された神尾の坊主姿が話題になった。けれどビジュアル面での驚きを差し引いたとしても、カミオがレーサーとして成長していく様子は、神尾自身の清々しくも芯のある演技力だからこそ光るものがあるように思う。  神尾が世間の注目を集めるようになったのは、菅田将暉主演のドラマ『3年A組 –今から皆さんは、人質です-』(2019年、日本テレビ)で演じた訳ありの水泳部マネージャー役だった。エモーショナルな神尾の役柄と演技が放送時に反響を呼び、彼は一躍ネクストブレイク俳優として頭角を現したのだ。 『いいね!光源氏くん』(2020年、NHK総合)での少しチャラいカイン役はハマり役だったし、吉野北人初主演映画『私がモテてどうすんだ』(2020年)で、ヒロインにアプローチする同級生役の好演もある。  日テレ系で毎夏放送される大型音楽番組『THE MUSIC DAY』の特別企画『矢沢永吉 特別ドラマ』(2020年、日本テレビ)では、若き日の矢沢永吉を熱演し、みかん箱しか置かれていないがらんどうの狭い部屋で空腹と悔し涙をこらえながらギターを弾き語る場面に思わずぐっときた。神尾の演技がこれほど人の心に刺さるのは、感情の両面性をうまく使い分けながら表現出来るからだろう。  当然本人は基本的に“陽キャ”(陽気なキャラクター)タイプだと想像するが、“陰キャ”’(陰気なキャラクター)を演じさせても見事な存在感を発揮するように、神尾は陽も陰も両方演じられる非常に器用なタイプの若手俳優なのだ。

少女漫画的な存在感

『彼女が好きなものは』※株式会社 U-NEXTのプレスリリースより

『彼女が好きなものは』※株式会社 U-NEXTのプレスリリースより

 とは言え、陽と陰の厳密な区別を難しくするのは、その顔立ちゆえだろうか。長いまつげにくりくりで大きい特徴的な目。どこをどう見ても非常に少女漫画的である。  1970年代に少女漫画界に革新を起こした「花の二十四年組」の漫画家である萩尾望都や竹宮惠子などの漫画世界に登場しても不思議ではない。少女漫画の世界の美少年は悩めるタイプでどちらかと言うと陰キャが多いが、でもどうしたってその華やかな顔立ちが陽キャ的に見えてしまう。  その意味で、浅原ナオトの小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を原作にした映画『彼女が好きなものは』(2021年)は、神尾初主演作品として、またとない機会だった。綺麗で美しい男の子同士の恋愛関係を描いた萩尾や竹宮の少女漫画の世界は、今では「BL」の元祖的扱いでひとくくりにジャンル分けされてしまうが、同作の神尾はそうしたBL化の枠を軽々と超えていく。  今井翼演じる彼氏との結構ディープな性愛の場面があるこの作品だが、例えばこうした男性同士の濃厚な絡み合いや関係性なら『窮鼠はチーズの夢を見る』(2020年)の成田凌を超える存在は今のところ見当たらない。  しかしメンズノンノモデル時代からもともとアンニュイな雰囲気が魅力的だった成田が非常にリアルなゲイの生々しさを体現していたのに対して、神尾の場合、主人公が自分は(ゲイではなく)「ホモ」だと断言している。ホモという呼称が持つ“どこか古風な温もりを感じるメルヘンな雰囲気”を抱えているのが決定的に違う。つまりそれが他のBL俳優を凌ぐ神尾の絶対的な存在感なのだ。  そんな神尾が本作では作品のテイストと見事に親和し、陽と陰をも超越しながらより深みのある演技力を養い、次に挑戦したのが『親密な他人』である。
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『親密な他人』で体現する孤高のスタイル
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