岡田将生、“ぱっとしない印象”から世界へ躍進。アカデミー賞ノミネート作で見せた怪演
『昭和元禄落語心中』の衝撃
岡田将生の「吸血鬼伝説」!?
演劇祭の演出をするために広島に来ている家福悠介(西島秀俊)と、家福の舞台で重要な役柄を演じていた高槻耕史(岡田将生)が、ドライバーのみさき(三浦透子)が運転する車で会話する夜の場面。
「僕は空っぽなんです。僕には何もないんです」と虚ろな表情の高槻が言う。何やらただならぬ殺気みたいなものを感じ取った悠介が思わず見る。高槻が見つめ返し、後部座席で見つめ合う二人。夜の車窓に流れる景色が何とも生々しい。そこから、悠介にとっては妻であり、高槻にとっては憧れの人であった(おそらく関係も持っていた)音のことをそれぞれ語り合う時間が延々続く。
ところが、緊張感が漂う車内で、妻の浮気の話が夫の口から語り出された瞬間だった。高槻の表情は一変し、瞬きをせずにただこちらを見つめてくる。不気味な表情。何やら人間ならざる気配を感じる。そして眼光が鋭く光り出すこの瞬間、彼の耳、鼻、目のどのパーツを見ても、やっぱり吸血鬼だと思った。テレビ局の連ドラの役柄として演じた八神役は、まだほんの序奏に過ぎなかった。
生き血に飢えた闇夜の怪物が岡田の身体を借り、その真紅の唇はいったい何を欲しているのか。どうやら、この夜の車内の会話は、岡田将生の「吸血鬼伝説」として語り継がれるらしかった……。
【公開情報】
『ドライブ・マイ・カー』は全国超ロングラン上映中。
※本作は「PG-12」のレイティングが定められています。
『ドライブ・マイ・カー』は全国超ロングラン上映中。
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