岡田将生、“ぱっとしない印象”から世界へ躍進。アカデミー賞ノミネート作で見せた怪演
度を超えた人間離れした演技
“再出発”になる高槻役を超えて
高槻は、大手の芸能事務所を退所して、フリーになった。フリーになるということは、仕事は自分で取ってこなくてはいけない。悠介の演出から多くを学びながら、自分を見つめ直し、苦悶し、自問を重ねる高槻の姿は、どこか岡田自身の等身大の姿を映し出しているかのようだ。言わば、彼の“再出発”を象徴する役柄として読み解けるだろう。
演技に目覚めた彼(高槻)が現状に満足することなく、さらなる高みを目指そうとする強い意志。新しい役を演じる毎にその都度、腰を据えて臆することなく改めて演技と向き合おうとする彼(岡田)のひた向きさ。
いったい、岡田が演じる役柄としての高槻なのか、それとも高槻が岡田自身なのか、虚実がまぜこぜになってよく分からなくなる。けれど、そうした難役だったからこそ、高槻役は、八雲以来待ち望んだ非常に生々しく、エモーショナルな新たなはまり役となったのだ。
アカデミー賞助演男優賞にノミネートされていないのだから、当然受賞は夢のまた夢の話だろう。それでも岡田の受賞を願ってしまう筆者は、ひとり、岡田がこの先、今度は高槻役を超えて俳優として世界へ向けて“再出発”していく日も、そう遠くはなさそうだ、なんて思ったみたりする。
©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
<文/加賀谷健>
【公開情報】
『ドライブ・マイ・カー』は全国超ロングラン上映中。
※本作は「PG-12」のレイティングが定められています。
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