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話題の「“赤の他人”の証明写真ガチャ」、だんだん愛着がわいてくる謎|辛酸なめ子

いまどきの男を知る会 ファイルNo.34 仕掛け人男子】  ファイルNo.34 仕掛け人男子「涙活」や「離婚式」、「銚電マンシール」「まずい棒」、そして今話題沸騰の「赤の他人の証明写真ガチャ」などの企画を精力的に仕掛けている寺井広樹さん。プロデューサーやオカルト作家など、様々な顔を持つ仕掛人男子です。  世の風潮を挑発するような仕事ぶりとは裏腹に、達観したお坊さんのような穏やかな雰囲気を漂わせています。坊主頭でチェックのネルシャツを着た寺井さんからは、業界人の威圧オーラは感じられません。日々、淡々と思い付いて実行しているのでしょうか……。発想の秘けつについて伺ってみました。

だんだん愛着がわいてくる「赤の他人の証明写真」

今話題沸騰の「赤の他人の証明写真ガチャ」 「離婚式」や「まずい棒」など、逆転の発想が目立ちますが、「『離婚式』でうまくいったので、全部ひっくり返す習慣がついてしまいました」と、寺井さん。「赤の他人の証明写真」は、個人情報が過剰に保護されている社会に対するアンチテーゼの意味もあるようです。 「今、規制が厳しい時代になって、コンプラや個人情報がうるさい中、攻めた商品を作ってくれてよくやってくれた、というご意見もいただきます。鬱屈した状況を打破する商品なのかもしれませ」  また、ここ最近はマスクで他人の全顔が見えない状況なので、知らない人の証明写真の顔をじっくり見られる機会は貴重かもしれません。 「そうですね。人のぬくもりを感じていただけたらと思ってまして。ガチャガチャを買って部屋に飾っている人の話を聞くと、なんか他人と思えなくなってくるらしいですね」

「300円払ったから…」長所を探す自分に気づく

人選の赤の他人感が絶妙 私も先ほどはじめてこのガチャガチャを引いて、出てきたのがメガネのさっぱりした男性でした。300円払って買ったので、この人は当たりだと思いたいというバイアスが働いて、長所を探そうとしている自分に気付きました。ニュースなどを見たら、当たりのレアなおじさん写真があったり、若い女子が「おじさんかわいい〜」とか言って愛でていました。 「辛酸さんが引いた写真の男性はドクロ柄のシャツを着ているから『ドクロ田さん』という愛称がついているみたいですね。レアキャラの当たりと言われている男性に関しては、『Tシャツなどのグッズを作りませんか?』という話まで来たのですが、さすがに売れないだろうと思って断りました」  冷静な判断力と引き際がさすがです。赤の他人の顔Tシャツも、実現したら「誰?」という視線が集中してシュールですが……。
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人選の赤の他人感が絶妙
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