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87歳・団地ひとり暮らしの女性が教える、毎日を楽しく生きるヒント

好奇心とおしゃれ心

 65歳で姉を亡くした美智子さんは、精神的に疲弊しました。周囲の勧めもあり、調理師専門学校へ通いはじめます。最初はつらさを癒すためでしたが、10代の若い生徒に混ざって学んだ1年は思いのほか楽しかったといいます。その後、居酒屋さんでのお手伝いやボランティアに参加。手に職や特技があれば、ずっと働くことができますし、必要とされるのです。100歳まで生きるのがめずらしくない時代、飛び込んでしまえば案外たやすく新しい扉がひらくのかもしれません。
80歳でピアスもあけました

(写真/林ひろし)

 おしゃれも大好き、美智子さん。といっても高価な服を買うのではなく、お友達に作ってもらったり、着物を洋服にリフォームしたり。着物もリサイクルショップで購入した100円~200円の古着です。でもとても可愛いのです。気は心とよくいったもので、お金をかければいいというわけではないのです。  さらに80歳でピアスもあけました。「耳が決まらないと、全身が決まらない」との信条がすでにカッコいいです。イヤリングだとなくしてしまうのでピアスにしたのだとか。小さなことでも好奇心を忘れない、それが若さの秘訣でしょうか。

人との付き合い、お金との付き合い

人との付き合い、お金との付き合い

(写真/林ひろし)

 いくつになっても悩みが尽きないのが、人とお金の付き合い方。どちらも「つかず離れず」が美智子さん流。人に関しては「私以外の人はみな先生」というスタンスで、年下世代と交流を深めています。歳を重ねていけば、年上世代や同世代が減っていくのは自然の摂理。「学ぶことがいっぱいある」という素直なまなざしが、人間関係の潤滑油になっているのでしょう。  お金との付き合い方も、無理はしません。「団地に住んで55年。ずっと賃貸」。昭和の時代は「マイホームを持ってこそ一人前」と言われてきました。考え方は人それぞれですが、美智子さんは「借金はしないし、財産も持たない」という主義。お金は節約してきたそうですが、80代も半ばを過ぎてから「お金は使わなくちゃ」と思うようになったのだとか。なぜなら「死んでから『ありがとう』と言われるよりも、生きているうちに子どもや孫たちを喜ばせたい」から。生前贈与のつもりで、クリスマスや入学祝いにお金を渡しているそうです。
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朝5時に起床し、6時にラジオ体操
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