猪瀬元都知事の“セクハラ問題”の根本は、パワハラだと考えられる理由
動かしがたい力関係の中で

テイラー・スウィフト
知名度のある猪瀬元知事と無名の新人候補の関係性でのパワハラ
こうしてみると、太田光氏や杉村太蔵氏のフォローがいかに的外れであるかがわかると思います。そして猪瀬氏の「仲間を紹介する際、特に相手が異性の時は肩に手をやるなど身体を触ることには慎重になるべきだとご指摘をいただきました。確かに軽率な面がありました」との釈明も不可解です。 なぜなら、猪瀬氏が触れたのは肩ではなく胸であり、しかもしっかりとその部位に視線を向けて確認したうえで何度も触っていた状況からして、「軽率」とはかけ離れているからです。 加えて、海老沢候補の対応も完全に悪手でした。
確かに彼女自身のキャリアと日本維新の会の和(わ)を保つという小さな目的は果たせたかもしれません。しかし、同時にそれが弱い立場にある女性たちの声をあげる機会を奪ってしまったとは考えられないでしょうか? あえて厳しいことを言えば、公人として社会問題に取り組むための視座に欠けていると言わざるを得ません。告発とまではいかなくとも、せめて猪瀬氏の行為を決して許されないものと断じた上で、謝罪を受け入れるなら受け入れるという手順を踏むべきでした。 この問題は“スケベじいさんの暴走”と矮小化してはならないのです。 <※RAINN(Rape, Abuse & Incest National Network)による> <文/石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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