News

赤ちゃんの遺棄事件はなぜ続く?「ひどい母親」と言う前に想像してみてほしいこと

中絶を希望しても、法律上できないケースも

AdobeStock_512909622 まさに虐待による負の連鎖と言えます。では、いったい彼女たちはどのようにして、妊娠に気づくのでしょうか。 「若い女性だと生理不順だったりして、妊娠しても2~3ヶ月は気づかない人が多いです。ただ、つわりが始まったり、周りから『妊娠してるんじゃない?」と指摘されたりしてはじめて検査薬を使い、判明します。  それで私たちにつながり、一緒に病院行ってみると、思った以上に週数が進んでしまっていることも多々あります。本人が12週だと思っていたら20週だったとか、20週のつもりが30週だったとか」  日本では母体保護法により、妊娠22週以降はどんな事情があっても中絶手術を行うことができません。妊娠に気づいたときにはすでに中絶ができない週数だったというケースも多いのです。  また母体保護法では、相手が配偶者であった場合、中絶には配偶者の同意が必要。病院では配偶者の同意書への署名と捺印を求められます。法的には、未婚の場合、相手の同意は必要ないのですが、多くの病院では相手男性のサインを求められるといいます。 「のちのち男性側とトラブルになるリスクを避けるため、同意書への捺印や署名をとっておこうという病院は多いです。その結果、中絶できる期間を過ぎてしまったというケースもあるようです。  私たちの団体では、事情をしっかりと聞いてくれて、未婚であれば同意書なしでも手術をしてくださる病院と連携して診てもらっています」  未婚女性の中絶にもサインが求められる実情について「女性の自己決定権が奪われている」として問題視する声も多くあります。

生まれたばかりの赤ちゃんを手にかける…。どんな状況が?

 健診にも行かず、誰にも相談できないまま、たった一人で出産を迎える女性もいます。そしてたびたび報じられるように、自ら我が子を手にかけてしまう女性も後を絶ちません。  具体的にはどのような状況なのでしょうか。 「相談窓口の情報が届きにくく、妊娠に気づいていながら経済的に病院に行けない女性もいれば、妊娠後期まで気づかず出産を迎える女性もいます。生活環境や栄養状況の悪い女性がほとんどなので、お腹がそこまで大きくならなかったり、早産で小さく生まれることが多いためです。その結果、『墜落分娩』といってトイレやお風呂などで産み落としてしまう。  出産直後に赤ちゃんを殺してしまったというニュースがありますが、こういった状況で女性はパニックに陥ります。赤ちゃんは泣き声を上げるので、驚いて口を塞いでしまい、結果的に呼吸が止まってしまったという事例もあるのです。『殺そうという意志を必ずしも持ってしているわけではない』ということを知ってもらいたいです
次のページ 
「助けを求めていい」と子どもたちに伝えよう
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ