Entertainment

家族のために感情を抑えてきた母の笑顔の裏側には/ホラー漫画『フォビア』

ホラー漫画『フォビア』ホラー漫画『フォビア』ホラー漫画『フォビア』

「自分や自分の身近な人もこうなるかもしれない」という恐怖

『フォビア』は、恐怖症に蝕まれていく人々の心理を描いたサイコホラー漫画です。 「高所」「隙間」「孤独」など、日常的にふと怖いと感じるものがテーマとなっているため、読後に「自分や自分の身近な人もこうなるかもしれない」という底知れぬ恐怖が付き纏(まと)います。 現在発売中の『フォビア』2巻に収録されている恐怖症は、他人の要求をなんでも受け入れる友人に執着される「拒絶」、作り笑顔の裏側の表情が見えてしまう女性を描いた「笑顔」、同じマンションに住む上司に生活を取り込まれていく「孤独」、身長にコンプレックスを持つ男性が主人公の「長身」、整形にハマる娘とその姿を見守る父親の悲哀を描く「醜形」の5つ。

「笑顔」の最大の怖さは「他人事じゃない切実な狂気」

特にオススメなのは、第7話「笑顔」。家族のために感情を抑えてきた主人公の母親が、笑顔の裏側を見せた時の見開きは圧巻。最後に見せる裏表のない微笑みにすら、ゾッとさせられます。この作品の最大の怖さは「他人事じゃない切実な狂気」であると言えます。 しかし、友人・末良のおかげで救いのあるラストを迎え、この作品内では珍しく希望の持てるお話に仕上がっています。末良の裏の顔で爆笑した読者も多いはず。(ちなみに、筆者は1巻収録の「高所」のIT系社長が、明らかに某有名人に似せて描かれているのも、かなりツボでした)
次のページ 
タッグを組んだ全くタイプの違う2人の漫画家とは?
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ