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家族のために感情を抑えてきた母の笑顔の裏側には/ホラー漫画『フォビア』

タッグを組んだ全くタイプの違う2人の漫画家

また、『フォビア』の大きな特徴は、全くタイプの違う2人の漫画家がタッグを組んだ異色の作品であるという点です。
原 克玄『るみちゃんの事象 1』 ビッグコミックス 小学館

原 克玄『るみちゃんの事象 1』 ビッグコミックス 小学館

原作を担当するのは、『るみちゃんの事象』『ハラストレーション』で知られるギャグ漫画家・原玄克。自由な発想で描かれるシュールなギャグや独特の下ネタで人気を博し、『るみちゃんの事象』はドラマにもなりました。 ストーリー漫画の原作は、今作が初。オムニバスのギャグ漫画で培った高度な構成力やテンポの良い会話で、読者を引き込んでいきます。 そして、作画を担当するのは気鋭の漫画家ゴトウユキコ。ベストセラーエッセイ『夫のちんぽが入らない』のコミカライズを担当し、原作にはない新たなラストシーンを描いて話題となりました。
原作:こだま 著:ゴトウユキコ『夫のちんぽが入らない(1) 』(ヤンマガKCスペシャル) 講談社

原作:こだま 著:ゴトウユキコ『夫のちんぽが入らない(1) 』(ヤンマガKCスペシャル) 講談社

痛みや苦しみを、生々しく切実に表現する彼女の作風が、恐怖症に囚われていく人々の描写とうまくマッチングしています。 また、注目していただきたいのは、ゴトウユキコが描く女体のエロさ。絶望的な展開と扇情的なベッドシーンの対比によって、死や狂気への恐怖をより効果的に引き立てています。

他人事とは思えない身近な狂気や悲しみ

作/原克玄 画/ゴトウユキコ『フォビア 1』 ビッグコミックス 小学館

作/原克玄 画/ゴトウユキコ『フォビア 1』 ビッグコミックス 小学館

独特の世界観で読者を翻弄する原と、濡れ場の名手・ゴトウ。『フォビア』では、2人の鬼才がそれぞれの持ち味を活かしながら、新境地を切り開いています。 他人事とは思えない身近な狂気や悲しみを描く『フォビア』。読んだ後、自分の中にある恐怖心の芽に気づくかもしれません。 ©原克玄・ゴトウユキコ『フォビア』/ビッグコミックスペリオール <文/藍川じゅん>
藍川じゅん
80年生。フリーライター。ハンドルネームは永田王。著作に『女の性欲解消日記』(eロマンス新書)など。
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